WHAT'S NEW?

2014年4月台風ヨランダ被災地支援活動報告(ネグロス島北部)

この4月よりカネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)の現地インターンとしてネグロスに駐在することになった寺田さんから、台風ヨランダの被災地支援を行っているASIN(アシン/Alternative Solidarity Initiative Networkの略)の活動についての報告が届きました。

ネグロス島北部カディスでの支援活動

台風の被害が大きかったレイテ島に多くの支援が集中する一方、他にも被害を受けた島への支援が手薄ということで、ASINは、ネグロス島北部、セブ島、パナイ島を中心に活動をしています。日本でAPLAやATJが呼びかけた募金の一部がASINによる活動を支えています。

今回は、ネグロス島北部のカディスという被災地において(1)栄養不足の子どもたちへの配給、(2)全壊した家の再建、(3)今後の活動に向けて被害を受けたスラムでの聞き取り調査といった活動を視察しました。

子どもへの配給は、栄養面を考えて、ご飯と野菜と鶏肉を一緒に煮込んだ(お粥のような)もので、ボランティアの地元女性が中心になって準備されました。時間になると子どもたちがハイスクールの教室に集まり、2列に並びます。なかには、ちゃっかり列に並んでいる子どもたちの親も。コップによそわれたご飯を順番にもらっていき、椅子に座るなり急いで口いっぱいに食べていました。おかわりに来る子たちも多く、笑顔で食べていたのが印象的でした。

カディス市ダガ地区のハイスクールでの配給の様子です。時間になると元気よく2列に並んで配られるのを待っています。

ご飯の残りが少なくなり、おかわりの分があるか心配そうに見つめている子。おかわりをもらうと急いで席に行き食べていました。

 

みなさん必死に現状を伝え、支援を訴えていました。ASINスタッフは、しっかりと状況を聞き入れ、今後の活動内容を話し合っています。

家の再建活動では、さまざまな工夫がなされています。できるだけ経費を抑えるため、全てではないのですが、安く購入できる遠くの地域からボランティアの人が車で1時間以上もかけて材料を運んでいます。また、住居のトイレにはバイオガスタンクも作り、薪を使用しなくても(ネグロス島では、薪を使用している家庭がほとんど)料理ができるようにするなど、環境にも配慮しています。
スラム街に暮らす人びともまた、台風の被害を受けています。彼/彼女たちは、自力で家を修理することが容易ではありません。ボランティアの女性が「知り合いの女の子が泣きながら支援をお願いしてきたの」と言っていました。事前にボランティアの方がリストアップしていた家庭を訪問し、被害状況・現状などを聞いて回りました。聞き取りをしていると、自分たちも支援してほしいと多くの人が近寄ってきます。一度に全部の家庭を支援することは不可能で、被害の大きい家庭から優先的に支援していこうとしているのですが、なんとも心苦しいところです。

完成間近の家。ネグロス島ではまだ珍しい網戸もついていて、なかなか良い家に仕上がっています。

6人が暮らす家。家族でない男性と女の子が隣同士で寝ざるを得ない状況で、衛生面も良くありません。

 

ASINには、看護師、音楽家、画家、教師、農家、大工など多くの分野のメンバーがいます。「今後も、さまざまな地域で、今までの活動は継続しつつ、さらにASINにしかできないようなワークショップや心のケアなど、多岐にわたった活動をしていきたい」と代表のアルフレッドさんは言っていました。

こういった活動が、私たちのような外部からでなく、フィリピン国内の内側から起きていることに大きな意味があると思っています。

報告:寺田俊(てらだ・しゅん/APLAインターン)