地域の水源を守り、子どもや孫世代に引き継いでいけるように、乾季にも生活用水や農業用水に困らなくなるように、とエルメラ県のコーヒー産地で展開してきている水源保全活動。これまでに水源保全活動を実施してきたGATAMIR(2013年度)とFitun Caetano(2014年度)の2つのグループでは、活動後も住民自身が手入れを続けています。2015年は例年以上に長く厳しい乾季に見舞われましたが、2016年2月、それぞれの地域の水源は、緑が青々と茂り、きれいな水が湧き出ていました。
GATAMIR
2年3カ月が経過して、植樹した木々がしっかり根付いて育っている様子が確認できます。「Avo(おじいさん、おばあさん)の時代は、ここはすべて森だったと聞いている」と話してくれた長老がいますが、みんなで手入れを続け、木を植え続けて、いつか森に戻る日も夢ではなさそうです。こんもり育った生垣に守られた水源から、今日もきれいな水がコミュニティに流れています。
Fitun Caetano
昨年後半の乾季には、水源(井戸にしたところ)の水がほとんど涸れてしまい「あんなに一生懸命やったのにやっぱりダメだったじゃないか……」といった声もちらほらありましたが、講師のエゴさんが話してくれた通り、丸々1年が経ち、確実に成果が形になっています。水源の周りの草木も生垣の木々も青々と育って美しい光景をつくりだしていました。水源から透明な水がこんこんと湧き出しています。防水カメラで水の中から写真を撮ったら(手をつっこんだだけで、もぐっていませんよ。笑)、のぞきこんでいるみんなの顔がしっかり写るくらい澄んでいました。
近くのLetefohoの街の教会の神父さんが噂を聞きつけて見学にきて、「Letefohoでも水源保全をしたい!力を貸してほしい!」とFitun Caetanoのメンバーを説得。1月にグループのメンバーがLetefohoに〝出張”し、自分たちが学んだことを別の地域の人たちに伝えるという素晴らしい実践をつみました。熱心なクリスチャンが多いグループのメンバーにとって、神父さんから頼りにされて、別の地域の環境保全に貢献したということは大きな自信につながっています。APLAとしても、とてもうれしいニュースでした。
報告:野川未央(のがわ・みお/APLA事務局)
※このプログラムは、地球環境基金の助成を受けて実施しています。
※活動について紹介している動画もあわせてご覧ください。
東ティモール・エルメラ県における水源保全活動(テトゥン語+日本語字幕)