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2017年4月4日~9日3カ国若手農民交流(2) コーヒー生産者グループとの交流・その1

2017年4月、フィリピン・ネグロスとラオスの若手農民が東ティモールを訪問しました。テトゥン語(東ティモール)、イロンゴ語(フィリピン・ネグロス)、ラオ語(ラオス)、そして日本語と英語…といくつもの言葉が通訳を介して飛び交いながら、お互いの学びを深めていった一週間となりました。

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ティモール独立闘争博物館を見学後、ディリを出発。くねくね山道に慣れていないラオスのメンバーたちは、道中で車酔いをしてしまい、エルメラに着いた時にはぐったり…。休憩・昼食で少しリフレッシュした頃合いを見計らい、コーヒー生産者グループのライタラン(メルトゥト村アピド集落)までさらに車を走らせました。

自慢のコーヒーについて説明するシット

まだ雨季が終わっていない4月。集落に着いた時には、強い雨が降り続いており、予定していたコーヒー収穫作業と加工作業がすぐにはできなかったため、東ティモールでは欠かせないコーヒーでのおもてなしにつづいて、ラオスのメンバー、シットが自分の農園で収穫し、焙煎したコーヒー(アラビカ、ロブスタ)と自身が所属する生産者組合のコーヒーをテイスティングすることにしました。ラオスのコーヒーの特徴とあわせて、「冷める前に飲まないと味が変わってしまう、プラスチックのポットやカップを使うと味が落ちてしまう」ことなどを熱く語るシット。試飲したライタランのメンバーは「東ティモールのコーヒーを同じように美味しいね」と口を揃えていましたが、シットの表情には「ラオスのコーヒーの方が美味しい」というプライドが見え隠れしていました(笑)

赤い実だけを収穫

みんなでチェリーの選別作業

 

それぞれの自己紹介をしている間に、雨が小降りになったので、グループメンバーのコーヒー畑に出ました。みんなで熟れたチェリー(果実)を収穫し、緑のチェリーや腐ったチェリーを選別します。赤いチェリーだけを選んで、東ティモールではおなじみの手動の機械を使って果肉除去する作業。ラオスのボラベン高原では、ほとんどの生産者が電動の機械を使っているとのことで、ある新鮮に感じた様子。また、ネグロスのメンバー(特に実家でコーヒーを植えているジョネル)は、どうやって果肉除去機を作れるか、観察したり写真を撮ったりしていた。果肉除去した後は、さらに欠陥豆を取り除いてから24時間水につけて発酵させ、ぬめりを取る作業について説明がされました。

循環型農業について説明するネグロスのメンバーたち

また雨が降ってきてしまったので、室内に入って意見交換タイムとなりました。ネグロスの砂糖産業の話を聞いたライタランのグループリーダーから「エルメラでも買い取ってくれる企業があれば(サトウキビ)を植えたい」という意見があがったことに対して、エムエムが、ネグロスのサトウキビ産業の歴史、砂糖危機と飢餓のこと、年に一度の収穫しかないサトウキビを植えるより様々な野菜を育てて毎日少しずつ収穫がある方がいい、といったことを熱弁する場面もありました。ネグロスではサトウキビ、東ティモールとラオスではコーヒーというモノカルチャー(単一栽培)が植民地時代に持ち込まれた各地域ですが、どのように自分たち自身の食料を生産する「農民」になっていくのか、その学び合いが今回の交流の大きな目的です。降り続いた雨のおかげで、室内で実りある意見交換ができました。まさに「恵みの雨」だと感じた交流2日目でした。

報告:野川未央(のがわ・みお/APLA)

※このプログラムは、公益財団法人トヨタ財団「国際助成プログラム」の助成をいただいて実施しています。