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手わたしバナナくらぶニュース

221号(2013年11月+12月)【コラム】小商い開店中(3)La Granda Familio Nakazakicho

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築100年以上の家屋を改造したお店

バランゴンバナナを使用したスムージーが飲めるお店が開店したというので、早速訪ねてみました。大阪は中崎町、築100年以上の家屋が残る古い街並みで、今や観光スポットになっています。中崎町では、伝統的な家屋を残して自然と調和した社会をめざしたコミュニティ運動が盛んです。La Granda Familioも元倉庫だった築100年以上の家屋を改造して開店しました。

≪有機・持続・平和≫がギュッと詰まったグラノーラ
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手描きの黒板が素敵

黒板には「オーガニック・グラノーラ&オーガニック・フルーツ」のメニューがチョークで書かれています。数多くあるスムージーの中で、ベリー&バナナ、バナナ豆乳、チョコバナナ、ローチョコバナナ、に使われているのがバランゴンバナナです。ですが、実はこのお店は、自家製オーガニック・グラノーラの専門店。グラノーラとは、麦や玄米などの穀物やナッツやドライフルーツをブレンドしたシリアルの一種です。一番人気のバナナグラノーラは、有機栽培のオーツ麦など穀物やナッツを、たっぷりのバランゴンバナナと一緒に蜂蜜ソースをからめて焼き上げたオリジナル品です。メニューの隣には、お店のコンセプトが書かれていました。「愛一杯に育てられた大地の恵みがギュッと詰まったGranola(グラノーラ)。毎日、美味しくヘルシーに!そして、地球と循環出来るものだけを選んでオーブンでじっくり焼き上げます。…(中略)…La Granda Familioは「食」からPEACEを伝えていきます。」

お店を運営する澤田さんと柴田さん

お店を運営する澤田さんと柴田さん

お店を運営しているのは澤田さんご夫妻と柴田さんご夫妻です。澤田さんは3歳の娘さんの食べものにこだわり、マクロビオティックで育ててきたのですが、外でおやつなどを食べる機会が出てくる年頃となり、こだわりのスイーツ、健康な持続可能なお店をやってみたいと考えていました。柴田さんの「グラノーラをやってみたい」という夢と合致して、自家製オーガニック・グラノーラ専門店として、今年8月に開店しました。

さらなる夢は、コミュニティ中崎町の≪持続と平和≫
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ショーケースに並ぶグラノーラ

2011年に起きた東日本大震災のボランティア活動をしながら「非常食」について考えました。グラノーラをバー状にすれば保存食になることから、グラノーラを非常食にしようと考えています。一般的に非常食として使われる乾パンやカロリーメイとなどは、美味しく食べられるものではないうえに期限がくると大量に捨てられてしまいます。グラノーラは栄養豊富で美味しく食べられます。美味しく食べてもらいながら、継続的に補充していく仕組みを考えています。「富山の薬」ならぬ持続可能な「中崎町の非常食」をめざしています。

また、バランゴンバナナとの出会いから、「ひとからひとへ、手から手へ」を中崎町で実現してみようと考えました。バナナを“手渡しでお届け”するしくみです。しかし、これはバナナを売ることが目的ではありません。中崎町には、一人暮らしのお年寄りがとても多いそうです。バナナを届けながら、お話を聞いたり、必要なお手伝いや御用聞きをしたり、マンションに暮らす人と一人暮らしのお年寄りをバナナでつなぐコミュニティの助け合いネットワークを考えています。
La Granda Familioとは、エスペラント語で「大家族」という意味です。娘さんのことから始まった“こだわり”が、中崎町というコミュニティに広がり、有機栽培の素材を通して日本の生産者とつながり、バナナなどを通してフィリピンとつながり、そして地球上の大家族に繋がっていく。「バランゴンバナナ生産者も家族の一員なんですよ」と、澤田さん。そんな大きな夢が見える中崎町の発信地は、小さいけれどパワフルなカフェでした。(まとめ:幕田恵美子/ATJ)

La Granda Familio Nakazakicho
大阪府大阪市北区中崎町1-1-18
電話/FAX:06-6136-7811
定休日:火曜日
HP:http://grandafamilio.com/

みなさんは「小商い」という言葉を聞いたことがありますか?『小商いのすすめ』(2012年、ミシマ社)の著者である平川克美さんは「自分の手の届く距離、目で見える範囲、体温で感じる圏域でビジネスをしていくこと」だと説明しています。グローバル化によって、一握りの大企業が世の中を席巻する昨今、私たちの身の回りには、誰がどこでどのように作ったかが見えにくいモノがあふれてきています。その裏では、環境破壊や資源を巡る争い、遺伝子組み換え作物の急増も。この事態を変えていく鍵が「小商い」にあるかも…!と考え、その実践者にお話を聞きます。