ネグロス島、カネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)についての報告をお届けします(2011年度事業報告より抜粋)。
2011年度は、KF-RCの農場設備、体制を充実させた1年となりました。2009~10年は、第2期生までの研修生が実践農場に参画してきましたが、2011年は新たに研修生は受け入れず、農場基盤の整備、将来的に農場の運営を担う人材育成と体制構築を強化していきました。
農場施設の拡充としては、家畜の飲水改善を施し、生物活性水(BMW技術)が製造されているプラントから豚舎や鶏舎へ直接水が流れるように配管設備を導入しました。これにより、豚や鶏がいつでも飲みたいときに水が飲めるようになり、良好な生育条件を整えることができました。
農場の主軸の養豚においては、2011年度は母豚21頭体制となり、子豚・肥育豚・加工肉用で合計462頭を販売することができました。また、魚の養殖の実施も本格化させ、生物活性水を利用した水でティラピアの養殖を開始しました。農場の財政面では、徐々に売上は上がってきているものの、豚の飼料代が高くつくことが課題で、原料の自給などが今後の検討事項となります。
農場には、海外・国内からたくさんの人が訪れ、研修生やスタッフと交流しました。日本からの訪問客をはじめ、ヨーロッパや中国からも来客があり、地元の高校生のサイエンスキャンプも開催されました。現地のNGOとの連携も図り、お互いの活動を紹介し合うこともありました。ルーラルキャンパスとしては、食肉加工のセミナーも開催し、今後販売していく計画です。
また、2011年9月には、KF-RCは財団として登記。フィリピン国内における法人格を取得し、理事会を設置しました。アルフレッド・ボディオスさんが理事長に就任し、他4人の理事体制が整いました。スタッフは、カルロス・バルコマさんを農場長にし、第1期、第2期の研修生5人がスタッフとして働くことになりました。これまで農場管理や販売管理を担ってきた2人も引き続きスタッフとして関わります。
2012年3月には、新たな研修生を受け入れる体制が整い、第3期生の面接を実施。新たに2人の研修生が参加することになりました。この間、見えてきた課題として、既に卒業した研修生たちが地元で農業を始めるとき、一人で継続していくことの難しさが出てきているため、将来その卒業生たちと一緒に取り組める人を中心に、また本人のやる気と意思を確認したうえでの新研修生の採用となりました。2012年は、APLAからKF-RCの農場への財政支援が最後になる予定ですが、養豚を中心としつつ、直売所の運営なども開始し、経営面でも強化を図っていくことになります。
報告:大橋成子(おおはし・せいこ/APLAフィリピン担当デスク)