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2013年11月~12月失われた森をよみがえらせ、水源を守るために

「La iha bee, La iha moris(水がなければ、生命もないよ)」

東ティモールを代表するミュージシャンであり、環境活動家でもあるエゴ・レモスさんが歌っているように、わたしたちの命を生かしてくれる水に対して敬意を払うことの大切さをエルメラ県のコーヒー生産者たちと共有することができました。

今年8月に、アグロフォレストリー(森林農法)の重要性についてコーヒー生産者に知ってもらうためにエゴさんと一緒にコミュニティをまわった際に(詳細はこちら)、彼から提案を受け、乾季に水不足に悩まされているメルトゥト村で、水源を保全するためのプログラムを実施しました。

APLAがこれまで一緒に活動してきたコーヒー生産者グループGATAMIRのメンバーだけでなく、村長や地域の長老、子どもたちなども参加し、村・地域全体を巻き込んだプログラムとなりました。また、Fitun Caetanoほか、エルメラ県内の他のコーヒー生産者グループからも代表者が参加し、ともに作業をしながら学ぶという機会をつくることができたのも大きかったようです。

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エゴさんの指導のもと、みんなが協力して作業

 

全4日間の作業は、これまで特段注意を払われてこなかった集落の上方にある水源を敬い、慣習的な方法で祈りを捧げ、水のルリック(精霊)が宿っている石を丁寧に祀ってからスタートしました。「おかげでけが人も出ずに、作業も順調に進んで、とてもいい形でプログラムを終えることができた」とエゴさん。村の長老曰く、「自分の子どもの頃(60年ほど前)までは、毎年、ルリックを敬う儀式を執り行っていたのに、いつしかそういう慣習も消えてしまった」とのこと。エゴさんの指導のもと、水源(わき水)を石できれいに保護し、その周辺に多数の植物を植えました。また、水源の上方に大きな池を2つ堀り、その周りにも植樹し、それ以外にも、土地の保水力が高まるように、多くの木花を植えました。今回、みんなの力で、自然に沿った形で水瓶となる池を掘り、保水してくれる樹木を植え、生まれ変わった場所では、これから毎年必ずルリックへの敬意が捧げられるはずです。

地域の長老が水の精霊に祈りを捧げる

地域の長老が水の精霊に祈りを捧げる

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女性グループがつくった柑橘ワインをお供え

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水源を丁寧に整備

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池を掘るのももちろん手作業

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池の底面には集めてきた牛糞を活用

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雨が降って池に水がたまった様子

 

これを機に、水源保全・森林保全・植樹の重要性を次世代が学ぶ実践型プログラムを継続的に実施したい、という次年度以降のプランもあがってきていたり、他地域からプログラムに参加した農民が、自分たちの地域でも同様のプログラムを実施したいと、非常に意欲的であったり、とても大きなインパクトをうみだしたプログラムとなりました。

報告:野川未央(のがわ・みお/APLA事務局)

※このプログラムは、地球環境基金の助成を受けて実施しています。