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2019年2月17日~2月22日ラオスの若手農民、作物多様化に向けて奮闘中

ラオス南部ボーラヴェーン高原の若手コーヒー農民たちが、作物の多様化や循環型農業について学ぶ機会をつくろうと、タイ東北部のカオデーン農園(注)とタイのオルタナティブ農業ネットワーク(AAN)の協力を得て、2018年9月、約2週間にわたる研修を実施しました(報告はこちら)。

タイで出国手続きをしてこのトンネルをくぐるとラオスでの入国手続きが待っている。

研修に参加した5人の若者たちは、タイからの帰国後にどんな実践を試みているのか 、もしくは実践できていないのか、どんな課題を抱えているのか、その課題はどのように解決できるのか… などをフォローアップするために、2019年2月、研修を担当してくれたカオデーン農園のデーンさんとAANのウボンさんと共にラオスを訪問してきました。

初日は、彼女たちが所属するジャイ・コーヒー生産者協同組合(JCFC)の事務所兼カフェにて、ウボンさんとデーンさんから近況の聞き取り。それぞれが試してきたことを絵に描き出してもらい、自分の家の周りで実践していることを説明してもらいました。

それぞれ実践してきたことを絵に描き出す作業中。

カムさんが描いた絵。野菜づくり、堆肥作り、養豚など。

 

5人は、コーヒー生産者の20代の女性という点では共通しているものの、家族構成や所有している土地の広さ、町へのアクセスなどはそれぞれです。2週間にわたる研修に一緒に参加しても、その後で実践できることにばらつきが出てくるのも当然のこと。誰が正しくて誰が間違っている、ということではなく、一人ひとりがどんなことに挑戦し、どんな難しさを感じているのか、という点を大切に、実践の見学と意見交換を重ねました。翌日からの3日間で、それぞれ異なる村に暮らす5人の若手農民を訪問しました。

コーヒーのシェードツリーになるように、バナナ、アボカド、ドリアン、柑橘、ナッツなどを植えているガイさん。

ガイさんが様々なフルーツを植えたコーヒー畑にて。他の4人も「自分も将来真似したい」と口を揃えていた。

シットさんが育てている自家消費用の薬草。彼女も多種多様な野菜や果物を育て、豚、ヤギ、鶏、アヒルも飼っている。

ノーさんの家では、デーンさんが柑橘類の接ぎ木の方法を実演。ノーさん自身も試してみているところ。

タイさんが家の近くの空き地で自家消費用の野菜を栽培している畑。タイさん一家はほとんど自給できているとのこと。

カムさんはコーヒーの果肉を活用した堆肥だけでなく、みみず堆肥も実践していた。他の4人は初めて見聞きしたとのことで興味津々。

 

5人それぞれがタイでの研修で学んだことを何かしらは実践しているのが確認できたのが何よりでしたが、普段は離れた村に暮らしている5人が顔を合わせて話をするという機会がほとんどないため、今回、タイでの研修でお世話になったウボンさん、デーンさんと一緒にお互いの村での実践を確認しあって思う存分に話をすること自体に、とても大きな意味があることを感じた4日間でした!(いつでもどこでもセルフィー、少し時間が空くとすぐにスマホでSNSやゲーム、といういかにも「若者」な姿もしょっちゅう見せていましたが。笑)

毎日毎日、意見交換(とおしゃべり)が白熱。

それぞれのおうちで用意してくれる美味しい食事をみんなで。

 

振り返りのミーティングでは、今後について、コーヒーだけではなく組合員が生産したオーガニックの野菜や果物を販売できるマーケットがあったらいい、若い組合員が農業について学べる場所をつくりたい、といった夢も語られました。すぐに形にすることは難しいとは思いますが、フィリピンや東ティモールの農民との交流やタイでの研修を経て、ラオスの若手コーヒー農民たちが踏み出した一歩を応援していきたいと思います。

 

報告:野川未央(のがわ・みお/APLA事務局)

注:日本国際ボランティアセンター(JVC)が以前バンコク郊外で行っていた自然農園プロジェクトの研修生だったコムサンさん(通称デーンさん)が、NGOの自然農業普及員の経験を経て、元JVCタイ駐在スタッフの森本さんと共に2006年に東北タイ・ムクダハン県でスタートした農園。

※本活動は、りそなアジア・オセアニア財団の助成をいただいて実施しています。