2019年10月、ミンダナオ島コタバト州でマグニチュード6規模の地震が相次いで発生しました。特に10月31日の地震ではコタバト州マキララ町のバランゴンバナナ産地で大きな被害が発生し、緊急支援金として3万米ドル(日本円換算で330万6000円)をバナナの出荷団体であるドンボスコ財団に送金しました。詳細は こちら をご覧ください。
ドンボスコ財団より、詳細な進捗報告が届きましたので、3回に分けてお伝えいたします。
*****
バタサン村の状況
<避難所と移転>
私たちのコミュニティの拠点であるバタサン村では、環境天然資源省(DENR)下の鉱山地球科学局(MGB)によって住居のあった場所が高危険地域と宣言されました。そのため、家を完全に失った先住民族を中心とした55家族の一時的(5年)な移転先として、ドンボスコ財団のバランゴンの圃場の一部を提供しました。また、地震で破壊された古い家から回収したり、修道会からの寄贈で不足している軽量の建材も提供しました。従来の土地に家を再建しても安全と認定された家族や、自分たちで新たな土地を入手して家を新築する家族にも、壁や木材など一部の建築材料を提供しています。
<食料安全保障のためのサバイバル菜園>
私たちの考える復興というのは、単に基本的な住まいを整備するということだけではありません。食料安全保障を考慮し、すべての世帯に対し、移住先として提供された土地に野菜や芋類を栽培するスペースを確保するように伝えました。そこに植えるための種のセットや、葉物や芋類の苗を配布し、さらに有機農業や適正技術に関する研修なども実施しました。
当初はこれらをここに住むための前提条件としていたのですが、今では住民自身が有機農業の考え方を気に入り、自ら野菜栽培に勤しんでいます。自家消費以上のものができた人は、毎週水曜の市に出したり、近所の人と作物の交換をしたりしています。
これは、村の他のグループの羨望、挑戦、新たな発想、そしてモデルにもなっています。コロナ感染拡大のパンデミックの最中、食料(特に米)不足の恐れもあるため、ドンボスコ財団の働きかけで、根菜や野菜を各家庭で栽培する「サバイバル菜園」の推進も村の政策に組み込まれました。村の676世帯はグループに編成され、各家庭での農園とは別に、空いている区画や、地主から借りた土地で共有の「サバイバル菜園」で食料を生産しています。現在、バタサン村の人口のほぼ100%が野菜畑などを持っています。ほかにも、ドンボスコ財団では500本の様々な果樹の苗を57世帯に配布しました。
<水源確保>
以前、バタサン村にはキダパワン水道局の水源とは別に、6つの湧き水による水源がありました。しかし、これらも損傷、もしくは水源が移動していくつかの泉は完全に干上がってしまいました。一番大きな湧き水は、地震の影響でドンボスコ財団のゴム農場内に移りました。水流は強いものの、地震から8ヶ月経っても水は濁ったままです。村の大部分の世帯に供給する水を確保するために、温泉近くの水源から引くためにパイプや付属品を提供しました。いまだに続く余震による地滑りで危険なため、またコロナ感染拡大によるロックダウンの影響などもあり作業はまだ終わっていません。
*****