2022年8月18日に、フィリピン・ネグロス島のバランゴンバナナ生産者とぽこぽこバナナプロジェクトの参加メンバーでもある千葉県浦安市の明海小学校地区児童育成クラブ(以下、明海学童クラブ)の子どもたちがオンラインで交流しました。
明海学童クラブは、「子どもバナナプロジェクト」というグループを作り、規格外バランゴンバナナを使った活用のほか、
バランゴンバナナの調べ学習などを積極的に進めています。今回参加した子どもたちは、そのプロジェクトのリーダーを中心に20名ほど。交流会では、その取り組みについて生産者に紹介されました。その内容は、バランゴンバナナの調べ学習、プロジェクトのロゴやTシャツ作り、規格外バランゴンバナナを伝えるポスター作り、地域のパン屋とのコラボ商品作りとマルシェでの販売、規格外バランゴンバナナを使ったおやつ作り、バナナアート、バナナの皮を使った草木染めなど、多様です。
交流当日、子どもたちはおそろいのTシャツで参加。子どもたち一人ひとりがデザインを考え、その後の話し合いで、バナナをネクタイに見立てたものに決まったそうです。残念ながら、Tシャツのプリントが当日には間に合わず、オレンジ色の無地のTシャツにネクタイ風バナナのシールを貼って、のぞみました。間に合わないから、シールを貼っちゃおうというアイディアを出すのが、明海学童クラブのすごいところです。
取り組みはうまくいったものも失敗したものもありました。例えば、子どもたちが楽しく取り組んだバナナアート。アート自体はとても上手くいったようですが、上手にできた分、食べるのがもったいないと、そのままにしてしまいました。数日後、バナナは真っ黒。結局捨てることになってしまったそうです。「規格外バナナの有効活用を考えて行ったのに、捨てるなんてダメだ」「これじゃ本末転倒だ」と振り返り、それ以降は、アートした後のバナナはすぐに食べると決めたそうです。
もう一つがバナナの皮を使った染め物。思った通りの色が出ず、子どもたちはがっかり。でもすぐにどうやったら色が定着するかを調べ、「次はこれを入れよう」「もう少し皮の量を増やそう」などと改善策を考え出しました。今も、いろいろと試しているとのことでした。
子どもたちが楽しみながら有効活用している様子がよくわかる発表で、バランゴンバナナ生産者の皆さんも画面越しに熱心に聞いている様子でした。
その後は、生産者からのバランゴンバナナをどのように作っているかの説明がありました。子どもたちは自分たちなりにバランゴンバナナについては調べていましたが、実際に作っている方から、直接育て方について聞くことで、新しい発見があったり、改めて生産が大変なことを知ったり、大きな学びがあったようでした。
その説明のあと、子どもたちから生産者への質問タイムがありました。「バランゴンバナナはどの時間帯に収穫しますか」「バランゴンバナナの名前の由来は何ですか」
1つ目の質問は「朝」という答えがすぐに返ってきましたが、2つ目の質問は生産者もわからずに、宿題となりました。
子どもたちにとって「バランゴン」という言葉の響きが印象的だったので、質問したくなったのかもしれません。
実は質問はほかにもたくさんあったのですが、時間の関係でできなかったので、せっかく出してくれた子どもたちの質問は、できる限り答えるようにしたいと思っています。
最後は、子どもたちからの歌のプレゼント。みんなで「幸せなら手をたたこう」を歌いました。
子どもたちとの交流のあとは、学童の運営スタッフやワーカーズコープの方々との交流が続きました。明海学童クラブからは、子どもたちの主体性を重んじ、子どもたちの「やりたい」ことを「できる」に変える取組みについて、そして、ワーカーズコープからは協同労働について紹介され、また生産者からはバナナ生産の苦労や喜びについて話されました。
初めての試みでしたが、全体を通して、とても充実した交流会になったのではないかと思いました。スタッフの方によると、子どもたちはかなり緊張していたということですが、全くそんなことは感じられず、練習の成果が発揮されたと思います。
交流会の後、バランゴンバナナ生産者からは、「初めて日本の子どもたちと交流できたことがとてもうれしかった」「こどもバナナクラブで関心や自分たちのしたいことにもとづいて探求を進め、色々な活動を展開している子どもたちはとても素晴らしい。確かに天才です」というメッセージが届きました。
また、子どもたちからは「ネグロスに行ってみたい」「生産者にお手紙を書きたい」などという声が聞かれました。そのお手紙には、バランゴンバナナの皮を入れ紙漉きをしたものを使いたいなどと話していて、今作成しているところのようです。
国境を越えた物理的な移動にまだ難しさがありますが、今後もこのような交流の機会をできるだけ作り、ぽこぽこと新しい取り組みが生まれるといいなと思っています。
報告:福島智子(ふくしま・ともこ/APLA事務局)