2023年8月31日、「アジアのノーベル賞」とも呼ばれるマグサイサイ賞をパートナー団体であるPermatil(パーマティル)の代表、エゴ・レモスさんが受賞しました。毎年、アジアの平和や発展に尽くした個人や団体に贈られる賞です。
このPermatilが、今年も東ティモールの若者向けに、パーマカルチャー*を実践的に学ぶパーマ・ユース・キャンプを3か所で開催しました。このうちのバウカウ県(7月)、オエクシ・アンベノ特別行政区(8月)で行われたキャンプに参加してきました。今年のキャンプは「私たちは水と大地を守るために働くことができる」をテーマに、東ティモールの各地域から参加した若者たちが、有機農業保全・水源保全・テラス式農園(土壌保全)の3つのグループに分かれて、学びました。
APLAがサポートをしているエルメラ県の若者たちはAPLAのローカルメンバーがリーダーシップをとりながら、それぞれの希望や特性からどの分野で学ぶかチームで話し合い決めました。それぞれが学んできたことを、後に他のメンバーと共有しエルメラのチームとして包括的な学びを得ることになります。単純な個々の学びに留まらず、それぞれが協力して地域の環境保全に向けて行動するためのチームビルディングの場にもなっているようです。
私は各グループを少しずつ観察しながら、水源保全のグループに多く参加しました。このグループは間違いなく運動量ナンバーワン!まずは座学(と言っても青空のフィールドの下で)で、水を蓄える働きをする植物や動物の働きなど水源保全に関わる知識を学び、その後、実際にPermatilが水源保全を行った場所まで歩いて見学に行きました。この道のりがなかなか険しく、小川を越え、長い登り坂、ときに急な斜面を登りました。ピラピラしたパンツ姿で町歩きの格好の女の子が手もつかずヒョイヒョイっと斜面を上がる姿には「おお、まるでヤギ。やはりティモールの人は山の人だ」と心の中で妙に納得していました。かと思えば逆に、山歩きに不慣れな女の子に手を差し伸べる姿や「あとすこし!」と周りが励ます姿もありました。「こんな長い山道を歩ききったの初めて!」と言ってきた参加者もいた、とAPLAのスタッフから聞きました。普段関わり合うことの少ない他の地域からの若者同士が汗を流しながら活動することは、より広い視野とつながりを持つきっかけにもなっています。
今後は、キャンプ参加の若者たちと協力し学んだことを活かしながら、エルメラで多様な野菜や果物の育苗や在来の種子の調査と保管、水源や土壌の保全をすすめていきます。
* 人間にとっての恒久的持続可能な環境をつくり出すためのデザイン体系のことで、パーマカルチャーという言葉は、パーマネント(永久の)とアグリカルチャー(農業)、パーマネントとカルチャー(文化)から造られた言葉。自然のシステムの観察と昔からの農業のやり方の中に含まれている智恵、そして現代の科学的・技術的知識を基盤とする。
報告:松村多悠子(まつむら・たゆこ/APLA事務局)