エルメラの仲間たちと独自の種子バンクの設立に向けて試行錯誤中です。
APLAティモールのスタッフ、エルメラのファシリテーターたちは、以前エルメラ県行われた地域の在来の種子を保全するための参加型研修 やPermatilでのパーマ・ユース・キャンプでの学びを通し、在来の種子保全の重要性を感じるようになりました。
種子バンク、といっても具体的にはどのようなものを作るのがいいのでしょうか?日本や海外の事例を紹介し、スタッフと考えるだけではいまいちピンとこないので、エルメラでの研修で講師を務めた東ティモールのda TerraというNGOがバウカウ県で運営するゲストハウスの中で作っている種子バンクをスタッフと共に見学に行きました。こちらでは種子を保管するだけでなく、苗の状態でも保管しています。種や苗は購入することもできます。「苗を種子バンクといえるのか?」とも思いましたが、見学したスタッフやその後に話を共有したファシリテーターたちには親近感がわき、ポジティブな例となったようです。そもそも収穫した作物の種を次の作付けのために保管しておくことは、昔から行われてきたことですし、苗床も新しい知見ではありません。「種子バンク」という新しいフレーズに囚われすぎず、昔やっていたこと/昔からやってきたこと・自分たちがやっていること、その身近なものと地続きの先に「種子バンク」の設立を目指したほうがしっかり進めるのではないかと思いました。
また、インドネシアの西ジャワに住む友人夫婦を訪ねた際に、彼らが個人的に作っている種子バンクを見学させてもらいました。乾燥剤をいれた瓶に1種類ずつ種を入れ、名前・採取日時・採取地などの情報を記載したラベルを貼り、保管していました。定期的に冷房をいれて、湿気対策をしているとのこと。また、近年増加する自然災害、気候変動に備え国家レベルで種子バンクを整える必要性などについて話をしてくれました。この西ジャワ での話を東ティモールの仲間にも共有し、種子の保管についてはこの例に倣ってみようと乾燥剤の手配をしているところです。現状では空いた容器に種を保管しています。ゆっくりとした歩みではありますが、自分たちにとって親しみのわく「種子バンク」を整えていっています。
報告:松村多悠子(まつむら・たゆこ/APLA事務局)