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2024年7月訪日時の交流に刺激を受け、着実に歩みを進めています

2024年6月、APLAの年次総会のタイミングに合わせて、フィリピン・ネグロス島のカネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)から事務局長のエリマー・トグハップ(通称エムエム)さんと北部ルソンのギルバート農園からギルバート・ボン・クミラ(通称ボンボン)さんを日本に招聘しました。二人は、東京でのAPLA会員の皆さんとの交流、九州や関西の生協の皆さんとの交流に加え、九州・山梨・東北の農業の現場を訪問し、大きな学びと刺激を得て帰国しました。

たとえば、福島県福島市のソーラーシェアリングの見学。APLAの会員交流会の際に、二本松有機農業研究会の近藤さんからソーラーシェアリング(営農型発電)のお話を聞き、できれば今回の日本滞在中に視察させてもらえたら、という話になり、急遽訪問させてもらいました。牧草栽培&牛の放牧をしているソーラーシェアリングと田んぼのソーラーシェアリングを見学させてもらい、質問が止まらない二人でしたが、それもそのはず。電気料金の高騰が激しいフィリピン、自分たちで電気を(しかも農作物と一緒に)生産できるのはとっても魅力的な話です。近い将来、ネグロスや北部ルソンでもこうした取り組みができたらいいね、と新しい夢を語り合いました。

その翌日には、山形県の米沢郷牧場グループを視察訪問し、有機栽培米の田んぼ、飼料工場、養鶏場、堆肥センター、BMプラント、果樹園、精米施設などを案内いただきました。地域内の食と資源の循環を見聞きできた1日を終えて、「地域の生産者が理念を共有して協働していること、それによって生産物の価値を高めて消費者に届けていることにとても感銘を受けた」と語るエムエムさん。ファーマーズ・クラブ赤とんぼのスタッフや研修生の皆さんとの交流の際には「自分の先輩世代からよく日本の農業の話を聞いていたけれど、自分自身が直接訪問して初めて地域資源循環型の農業の全体像が掴めた。ネグロスに戻ってから、今回学んだことをカネシゲファームの仲間たちや研修生たちに共有して、自分たちももっとがんばっていきたい」と力強いメッセージを伝えてくれました。
帰国後にさっそく!

7月、エムエムさんの意気込みは、実際に形になりつつありました。

たとえばお米。「水が十分ではないために、ここではお米づくりは難しい」以前はそう話されていましたが、米沢郷での取り組みに刺激を受け、また、現在研修中の10期生の一人が実家でお米栽培をしているということもあり、KF-RCでもお米づくりにもう一度挑戦することにしたそうです。米沢郷牧場で見せてもらった苗づくりの方法を参考にしつつ、自分たちなりに工夫をして種籾から苗をつくり、豚舎からのスラッジも活用しながらお米栽培に挑戦することにしたそうです。農場長のカルロスさんも「色々実験をしてみることが大事だよね!」と意気込んでいました。

昨年は、アフリカ豚熱(ASF)の感染拡大の対策で農場への外部者の立ち入りを厳しくコントロールしていたKF-RCですが、豚舎周辺の防疫対策はしっかり継続しつつ、自分たちの産物や取り組みを積極的に外に伝えるために動き出しています。ハイウェイに面している入り口に大きな看板(スタッフのジョネルさんの弟作!)の設置も完了し、これからの発展が楽しみです。

報告:野川未央(のがわ・みお/APLA事務局)