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2024年8月25日〜9月1日フィリピン・ミンダナオのバナナ産地を訪問するツアー報告(その2)

報告(その1)に引き続き、ツアー後半の振り返りです。

5日目
この日は、レイクセブに暮らす先住民族ティボリの人びとの伝統民芸品を堪能するところからスタート!店舗には、女性たちによるアバカの織物とそれを使った小物、刺繍が施された衣装、ビーズの装飾品、竹細工など、どれも素敵なものばかり。隣接する伝統的な家屋は、気持ちのいい風が吹き抜けるスペースで、伝統衣装の試着を楽しんで、それぞれお気に入りの品を購入しました。販売されているものは、基本的には、山間部に暮らすティボリの女性たちが自宅で手作りして組合に納品しているそう。手の込んだ刺繍などは、一つ完成させるのに3カ月以上かかるものもあるそうです。​
そして待望のバランゴンバナナの産地へ!町の中心部から車で1時間半ほど山道を走って到着した山間の集落は、参加者の皆さんの想像をはるかに超えていたようです。「あそこに植っているのが自分のバナナです」と生産者の方が指差した場所は山の急斜面。慣れている地元の方の足でも片道20分かかるということで、重いバナナを運びながら降りてくるのはどれだけ大変だろう、と想像します。
さすがにツアー参加者全員でそのバナナ畑に行くのは無理だろう、と判断し、生産者さんの家の裏庭に育っているバナナの収穫を見学させてもらいました。最初はもじもじ恥ずかしそうにしていた子どもたちともすぐに打ち解けた参加者の皆さん。元気に駆け回ったり、日本から持ってきた紙風船や遊んだりしていたら、あっという間に日暮れの時間を迎えました。電気が通っていない村なので、頼りは、生産者団体のUAVOPIが用意してくれたソーラーライト。夕食をいただいた後は、集落のヘルスケアセンターをお借りして宿泊ということで、普段考えられないくらい早めの就寝となりました。
6日目
「にわとりの鳴き声で目が覚めたのは初めて!」と参加者の誰かが言っていましたが、村の朝は早いのです。用意してもらった朝食をいただき、散歩をしたり、記念のバナーにメッセージを書き込んだり、学校に行く前の子どもたちと一緒に楽しく遊んだり、と思い思いの時間を過ごしました。たった1泊の滞在、そしてお互いの言葉もあまりわからないなかでも、心の距離はこんなにも縮められるものなんだ、と感動するほどの濃密な時間でした。日本からの参加者の皆さんだけでなく、村の子どもたちにとってもきっと忘れられない体験になったと思います。
後ろ髪を引かれるような思いで集落を後にし、もう一つ、レイクセブで初期からバランゴンバナナを出荷している生産者さんが暮らす別の集落を訪問。ここでもお話を聞かせてもらい、バナナの収穫体験もさせてもらいました。そして、町に戻って一休みした後は、UAVOPIのパッキングセンターの見学です。各村から運ばれてきたバナナを水で丁寧に洗い、軸の部分を綺麗にカットし、基準に沿って選別したバナナが13.5キロずつ箱に収められていきます。品質管理が重要とはいえ、脇にリジェクトバナナ(規格外バナナ)が山積みになっているのを見るのはやはり心が痛みます…。ツアー参加者の皆さんもバナナの洗浄作業などを体験させてもらい、その後は18年間もこちらで働いているパッカー(作業する方たちのことをそう呼びます)の方お二人にお話を伺いました。この日は、夜までに1200箱のパッキングを終える必要があるということで、皆さん大忙しにもかかわらず訪問を受け入れてくれました。お話を伺っている最中も片手でバナナの洗浄を続けている熟練パッカーさんに脱帽!
生産者の皆さんの努力、パッカーの皆さんの丁寧な仕事があってこそ、日本に美味しいバランゴンバナナが届いていることに改めて感謝をした一日でした。
7日目&最終日
レイクセブでの最終日は、朝から振り返りのミーティング。参加者の皆さん一人ひとりから今回ミンダナオを訪問して感じたことなどを共有してもらい、UAVOPIの若手農業指導員の二人、そしてシッドさんとジェームスさんからもメッセージをいただきました。シッドさんが話されていた「民衆交易の根幹は、エクスポージャー(さらされること、触れること)、言い換えれば、人と人が出会い、お互いを知ること」ということが特に心に残っています。
ちょっとは観光も、ということで、レイクセブの観光名所であるセブンフォールズに立ち寄り、ジェネラル・サントスに到着後は、大きなモールでの買い物タイムも。そして最後の夕食はジェンサンならではの海の幸を楽しみました。
最終日は、朝にジェンサンの空港で解散。8日間をご一緒してくれたドライバーのお二人とのお別れはやっぱり寂しくちょっとウルウルしてしまう場面もありました。APLAとしては初めてのミンダナオ島のツアーでしたが、とても積極的で豊かな感性を持つ参加者の皆さんのおかげで、学びや気づきの大きな8日間となりました。何よりも、バランゴンバナナの生産者団体であり、ツアーを受け入れてくれたUAVOPIの皆さん、今回ご一緒してくださった立教大学の石井正子さんの存在なしでは、このツアーは成立しませんでした。Bong Salamat!!!(ティボリ語で「どうもありがとうございます」)今回のツアーを一つのきっかけとして、レイクセブやツピのバランゴンバナナ生産者の皆さんとの関係をさらに深めていけますように。
報告:野川未央(のがわ・みお/APLA事務局)