400年以上にわたるポルトガルの植民地時代、第二次世界大戦中の日本軍による占領、そしてインドネシアによる強制併合という長い抑圧の歴史を経て、2002年に誕生した21世紀最初の国。新しい国づくりが始まって約15年が経ちますが、国内産業がほとんど育っておらず、石油・天然ガスなどの天然資源を除くと、主な産業はコーヒーのみといっても過言ではない状況が続いています。
オルター・トレード・ティモール(ATT)を通じて、コーヒーを購入している約20のコーヒー生産者グループのうち、現在まで4つのグループと共に「コーヒーだけに頼らない地域づくり」をめざした活動を進めてきています。
具体的には、作物の多様化による収入の安定化と自給率の向上、森林農業(果樹など)の導入、女性メンバーによる食品加工、若手リーダーの育成プログラム、住民主体型の水源保全活動などを実施しています。
パートナー紹介
オルター・トレード・ティモール社(ATT)
東ティモールにおける人びとの自立した持続可能な暮らしづくりをめざし、環境にやさしい農業を通じ、東ティモールの自然を守っていきます。コーヒーの買い付け、輸出以外にも、地域内流通や食品加工も進めています。
Permatil(Permaculture Timor Lorosa’e)
東ティモールの国民的ミュージシャンであり、環境活動家でもあるエゴ・レモスさんが設立したNGO。パーマカルチャー*をベースに、東ティモールにおける持続可能な農業の実践を広めるために、農民や青年を対象にしたトレーニングなどを実施しています。
* 人間にとっての恒久的持続可能な環境をつくり出すためのデザイン体系のことで、パーマカルチャーという言葉は、パーマネント(永久の)とアグリカルチャー(農業)、パーマネントとカルチャー(文化)から造られた言葉。自然のシステムの観察と昔からの農業のやり方の中に含まれている智恵、そして現代の科学的・技術的知識を基盤とする。
現在の具体的な活動
◆若手リーダーの継続育成と循環型農業を軸にした地域づくり
エルメラ県のコーヒー生産者グループ(Fitun Caetano、GATAMIR)のメンバーである3人の青年が2013年度に実地した研修の成果を地域に還元しながら、それぞれの出身地を含めて合計4つのグループの活動を率いつつあります。彼ら3人が若手リーダーに育っていくためのプロセスを継続してサポートしています。
3人が中心になって循環型農業に取り組んでいる4つのグループでは、長期的な安定・自立のために必要不可欠な野菜の種子や果樹の苗を地域内で生産・供給できるような仕組みづくりが進められています。
◆女性グループの活動
エルメラ県のコーヒー生産者グループ・GATAMIRでは、コーヒー以外の現金収入を得るため、女性たちがグループを結成し、柑橘ワインを作り始めています。2013年から始まった試みは、一定の成果をあげ、品質の安定化や衛生面の強化により販路拡大をめざす動きが出てきており、その活動を後方支援しています。
Fitun CaetanoとLekisaraの女性グループもそれぞれ地域にある資源をいかした経済活動を展開したいという意欲が生まれてきたため、活動が軌道に乗るために必要な支援をおこないます。
◆水源保全・植樹活動と環境教育
現地NGOのPermatil(パーマティル)と協働し、2013年度から住民参画型の水源保全・植樹活動をエルメラ県の3つの地域で実施してきました。子どもたちが、地球の環境問題や循環型農業について実践を通して学ぶ場づくりを進めています。