5ヘクタールもあるカネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)の農場だが、色とりどりのTシャツを着た60人を超える若者集団が、農業体験と称してあちこちの畑に分散し、どこからも笑い声が絶えない賑やかな2日間だった。農場のセミナーハウス前には「バコロド市バナゴ地区青年団リーダーシップ・トレーニング@カネシゲファーム」と書かれた横断幕が垂れ下がり、大型トラックに積み込まれた「60人の若者たち」と60個の椅子と寝泊り用テントが農場に運び込まれた。
人口40万人以上を抱えるバコロド市はネグロス西州の州都で、バナゴ地区はバコロド市内で7番目に大きな行政区だ。ネグロス島最大のバナゴ港に隣接し、住民の7割近くがスクウォッター(不法住居者)と言われ、バコロド市内でも最大のスラム地域を抱えている。当然、若年層の非行・犯罪も問題視されてきた地域だが、現区長と青年部担当の職員は、かつてからカネシゲファームの代表アルフレッドの友人で、フェイスブックでカネシゲファームの様子を知り、「ぜひ青年部の大会を農場で、農作業を体験しながら行い、農村の青年たちと交流させたい。元々彼らの両親は農村から都市へ移住してきた人たち。農場の研修生たちの真面目に生きる価値観を伝えて欲しい」という要請があった。
農場にやって来たバナゴの青年たちは、貧困や住居の衛生環境など様々な問題を抱えながらも、明るい誠実な子どもたちだった。思いっきり畑で汗を流し、ココナッツジュースをたらふく飲んで、楽しい交流が続いた。彼らが農場に残してくれたメッセージの多くは、「野菜料理がおいしかったぁ~」
区長さん他職員たちは、「来年もよろしく!」とご機嫌だったが、さて、この企画はあと何年続くのか、と60人の都会の若者の「お世話」でクタクタになった研修生たちの顔は少し不安そうでもあった(笑)
報告:大橋成子(おおはし・せいこ/APLAフィリピン担当デスク)