2010年から、APLAとともにコーヒーだけに頼らない地域づくりに向けて色々な挑戦をしてきた2つのグループ、Fitun Caetano(フィトゥン・カイタノ)とGATAMIR(ガタミル)。フィリピン・ネグロスと北部ルソンの農民との交流プログラムを経て、自分たちの地域の可能性を探し出すところから始まり、それぞれのグループで魚の養殖や豚の飼育、自給作物栽培のための土づくり、女性グループの活動などを進めてきた2年間を振り返りました。
乾季の農業用水の不足、魚のエサの改良が必要であること、コーヒー収穫期のいそがしさで女性グループの活動が停滞してしまうこと……などなど、解決していかないといけない問題はまだまだ山積みですが、それでも「2年前とは確実に何かが変わってきている、一つずつ実践を重ねてきている」という認識をみんなで共有できました。
そうした現状で、今後も地域で直面していくだろう問題を解決するための知識や技術が<地域の中に>必要だ、という話に発展していきました。そして、Permatilの協力のもと、地域の青年たちを対象にした一年間の実地研修を実施することになりました。この研修には、それぞれのグループから2人ずつ(男女1人ずつ)が参加します。
今回の滞在中には、Fitun Caetanoで研修生候補者のインタビューをおこないました。Fitun Caetanoから研修に参加するのは、マルクス・ドス・サントス(26歳)とセザルティナ・ドス・サントス(22歳)です。2人とも高校まで卒業した後は、村の中で、家の手伝い(=コーヒー生産・農業・家事など)をして過ごしてきましたが、家族の後押しもあって、参加を決意した若者たちです。
「これまでも毎日畑仕事をしてきたけれど、“種をまいたり苗を植えて、できたものをとるだけ”だった。そうじゃない形を学びたい。そしてそれをグループや地域のみんなにおしえたい」とマルクス。セザルティナも「将来のために、自分の知識や経験を増やしたい。そして村にもどってきてみんなに共有したい」と決意表明。そして、送り出すグループのメンバーからは、「はずかしがらず、間違いを恐れず、一年間という限られた時間のなかで、たくさんのことを学んで帰ってきてほしい」との激励の言葉がかけられました。
Permatilの代表・アタイさんからは、「大事なことは(APLAやPermatilではなく)グループのメンバー全員でこの2人の若者を選んだということ、選ばれた2人を信頼して研修に送り出すということ。Permatilには、出身や学歴に関係なく誰だって自分が必要とされている場所で<何か>を成し遂げることができる、という信念があるんだ。これから始まる研修のなかで、2人には実践を重ねながら様々なことを統合的に学んでほしい。そして、村に戻って、Fitun Caetanoや地域にとっての大きな力になってほしい」と力強いメッセージが。研修生本人たちだけでなく、グループのメンバーも真剣な表情で聞き入っていたのが印象的でした。
もうひとつのGATAMIRの方は、これからグループ内で研修生の決定のための話し合いがおこなわれることになっています。11月からスタートする実地研修の様子は、現地からの報告のつど、こちらでお伝えしていきたいと思います。東ティモールの青年たちの奮闘へのみなさんからのご声援、お待ちしています!
報告:野川未央(のがわ・みお/APLA事務局)