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2012年7月26日~8月2日成長と一体を五感で感じた1週間 ~2012年青少年ネグロス体験ツアー報告~

2012年7月26日~8月2日、「グリーンコープ青少年ネグロス体験ツアー」が実施されました。フィリピン・ネグロス島の山奥で、日本の高校1年~3年生とネグロスの若者たち(13~26歳)合計22人が、朝から晩までワークショップを通じた交流をし、最後にひとつの劇をみんなでつくり上げるという企画です。

当たり前だけどとても大切なこと

移動などを除いた正味4日間で15種類以上のワークショップを実施しましたが、どのワークショップも、今まで頭では理解していたであろう“当たり前”なことを、子どもたち全員が心身で実感できる内容となりました。たとえば、ある伝言ゲームでは、自分ではちゃんと伝えているはずなのになぜか相手にうまく伝わっていない、ということが多々起こりました。そこから、人に何かを伝える時には、相手の目をしっかり見て、はっきりと話さないと伝わらない、聞く側も相手の声に集中して耳を傾けなければいけない、さらに、気持ちや動きを加えることで、はじめて言葉が「伝わる」のだという気づきが生まれます。

関係性の大切さを学んだ「ネクストライフ」

別のゲーム「ネクストライフ」では、各自が将来生まれ変わりたいものを考え、その生まれ変わりと関係している人を順番にゴム糸でつないでいきました。そのつながれた形は、一人でもゴムを手から離すとぐちゃぐちゃに崩れてしまいます。そして、一度崩れてしまったら簡単には元の形に戻せない。誰かがゴムを離すと、みんなの手にゴム糸が跳ね返り、その痛さから、相手から手を離されるとすごく辛いということも体感するわけです。そこから、私たちはこの世に存在するありとあらゆるものと関連性を持って生きていること。それは自分が注意していないと簡単に壊れてしまい、誰が欠けてもこの関係性は成り立たないこと。そして未来のため、この関係性をつなぎつづけていなければならいないということを学びました。

ツアーの終盤で行われたキャンドルナイトでは、輪になって、一人ずつ今まで胸にしまいこんできた悩みや感情を話していきました。お互いを信頼しているからこそ話せる仲間の心の内を聞くことができ、ワークショップで見ることのできた個々の変化とは別に、「グループ」としての変化を垣間見ました。悩みも辛いこともすべて涙で流したおかげでできあがった、軽くて清々しい雰囲気、友達を越えた家族のようなみんなの笑顔、言葉では表せない子どもたちの一体感は今でも忘れられません。

子どもたちが創りだす未来

子どもたちの手形で仕上げたツアーの横断幕

日に日に仲良くなり、変わっていく子どもたちの姿を見ていて、APLAは、本当に国境を越えた人びとの関わりを創っているのだと感じました。頭ではわかっていましたが、子どもたちの笑顔と彼/彼女らがつくり出す空気、そしてみんなで協力してつくり上げた素晴らしい劇から「人びとの関わりを創る」ことがどういうことかを学びました。つくる人、食べる人がどういう人かを知るだけではなく、実際に関わりあう事で一方的ではない「共に支える」という気持ちが生まれ、行動につながる。そして、人びとの関わりを大切にしてきたからこそ、20年以上も民衆交易が続いてきたのだと感じました。今回のツアーには、ネグロス側から、複数のバランゴンバナナ生産地域の子どもたちも参加しました。日本とネグロス間の関係性だけではなく、このツアーがなければ生まれることがなかったかもしれないネグロス内の関係や出会いも、いつかは生産者どうしの連帯にもつながると信じています。

報告:赤石優衣(あかいし・ゆい/APLA事務局)