バナナ募金の届け先の一つである福島市のあすなろ保育園。2014年12月に実施した福島ツアー(詳細はこちら)で訪問した際に、「バランゴンバナナ生産者の方々へ届けてほしい」と千羽鶴を預かりました。その後、オルター・トレード社(ATC)と相談し、フマイフマイという地域にある幼稚園と小学校へ大切に届けられた千羽鶴。その様子を先生方と子どもたちに報告すべく、2014年4月、あすなろ保育園を再び訪問しました。
フマイフマイは、2012年2月6日に発生したネグロス島沖地震の被災地にあります。被害が大きかったこの地域では、同幼稚園・小学校も建物が倒壊。校舎があった土地は、二次災害の恐れがあるため使用できなくなりました。
そのため、APLAやATJ、生協団体などを通じて集められた募金で、新しく学校を建てる土地の購入や遊び道具の寄付など、ATCを通じて支援が実施されました。現在では、新しい校舎も建設され、多くの子どもたちが学校に通えるようになっています。全ての校舎が完成しているわけではなく、仮設校舎で勉強している子どもがいるなど、復興の途中ですが、バランゴンバナナに関わる多くの人びとの手によって支えられています。
あすなろ保育園からの千羽鶴を手渡した際に、福島の現状を話して伝えたところ、先生方は、同じ子どもを預かる立場として、制限のあるなかで子どもたちが生活しなければならないということに胸を痛めている様子でした。バランゴンバナナの生産者が暮らしているフマイフマイ地域。震災後は、幼稚園・小学校の敷地にもバランゴンを植えており、「美味しいバナナを栽培・収穫して、あすなろ保育園に送りたい」との声もあがっています。
こうした話を聞いたあすなろ保育園の先生方からは、千羽鶴が無事に届いて嬉しいという感想や「フィリピンに行ってみたい」との声もありました。これまで地産池消を掲げて地域内でのつながりを大切にしていたあすなろ保育園ですが、バナナ募金をきっかけに、海外との関わりにも目を向けるようになったと聞いて、うれしく思っています。
東日本大震災後、「これまで自分たちを支えてきてくれた日本のみなさん、特に震災の被災者の方へ」と生産者からたくさん届けられたバランゴンバナナ。そして、フィリピンの台風被災者の方々を見舞おうと、あすなろ保育園の先生方と子どもたちが心を込めて折ってくれた千羽鶴。バナナ募金の活動を通して、食べものとしてのバランゴンバナナから、国境を越えて人と人をつなぐバランゴンバナナになっていることを改めて実感した出来事です。
報告:赤石優衣(あかいし・ゆい/APLA事務局)