2015年5月29日~31日にかけて、フィリピン・北部ルソン、ヌエバ・ビスカヤ州のマラビン渓谷で柑橘栽培を営んでいる農民たちがネグロスのカネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)を訪問し、交流しました。
マラビン渓谷は山の上に位置し、低地で砂糖キビプランテーションのど真ん中にあるKF-RCと、それぞれ地形や育てているものは違いますが、BMW技術(注)を用いて、持続可能な環境を維持していくこと、地域循環に取り組んでいるという点では共通項をもつ農民たちです。
KF-RCからの循環型農業や環境問題についてのプレゼンテーションの後、実際に農場内を見てまわりました。マラビン・グループのひとりが「地域内もそうだが、農場内で循環しているのがすごい。私たちの地域にもBMプラントがあるので真似をしてみたい」と、やや興奮気味に話してくれました。その後、意見交換や質問をしあうと交流タイム。マラビン・グループの人たちからは、液肥を撒くタイミングや回数、豚の飼料の配合の仕方についての質問が多くあがりました。
翌日は、KF-RCで研修を受けた卒業生の豚舎を視察訪問しました。小さな豚舎でも液肥を作ることができ、立派な野菜が育っている様子を目にしました。卒業生も、他の地域の農民たちが自分の農場に興味を持ち、たくさん質問をしてくれたことが自信につながったと思います。
最終日、マラビン・グループの代表のギルバートさんが「今回の交流で多くのことを学んだ。BM活性水の使い方や道具のリサイクル方法など、農業としての地形は、私たちの地域より優位だが、それだけではなく、工夫がたくさんされていた。初めてネグロス島を訪れた他の仲間たちにとっても大きな経験になったと思う」と話してくれました。KF-RCの代表のアルフレッドさんは「まずは実践することが大切。今回学んだ事をどう活かし、どう行動していくかが重要」と、マラビン・グループを自宅に招いて裏庭栽培の実践を紹介。家の庭でもこれだけの有機野菜が作れると実際に見せながら説明しました。マラビン・グループの参加者たちは、都市部の庭で化学肥料を使わずに多くの種類の野菜が栽培されていることにとても驚いていました。
今回の交流を経て、マラビン渓谷でも地域循環型農業の実践が進んでいくことを願いつつ、今後も同じ志を持った農民たちの交流を媒介していきたいと考えています。
寺田俊(てらだ・しゅん/APLAスタッフ)
注:バクテリア(微生物)・ミネラル(造岩鉱物)・ウォーター(水)の略。バクテリアとミネラルの働きをうまく利用し、土と水が生成される生態系のシステムを人工的に再現する技術のこと。