ネグロスのパートナーから近況報告が届きました。ナガシ農地改革受益者組合(NARB)、バランゴンバナナ生産者協会(BGA)、ネグロス有機農家連盟(ANOFA)の頭文字をとって名づけた農民ネットワークであるNBAは、確実に新しい一歩を踏み出しています。
日本に初めて民衆貿易のバナナを送り出したバランゴン生産者協会(BGA)が結成17年を迎えます。2008年10月には、初めて青年部の総会が開催され、高校生・大学生を中心とした40名の若者が「地域づくりを担う青年たちの輪をひろげよう!」というテーマで活発な議論を行いました。BGA結成当時に生まれた世代である彼・彼女たちが、いま、地域の将来を背負っていこうと集ったことは大きな意味を持つといえるでしょう。参加者からは「わたしたちはバナナのおかげで成長でき高校まで通学できた。これからは両親やBGAに恩返ししていかなければならない。卒業後、都会に仕事にでる仲間も多いが、わたしたちを育ててくれた地域を決して忘れず、教師や農業指導員になって村づくりを手助けしたい」と、心温まる発言が続いたということです。
バナナ村の青年たちに続いて、12月にはANOFA(ネグロス有機農家連合)の第2回総会が開催され、7つの地域から合計60名が参加しました。全員が、農地改革を経て、砂糖労働者から野菜生産を中心にした自営農民に転換した人たち。世界的に食糧危機が叫ばれるなかでの農業の意義や誇り、地産地消によって地域を強くすることの重要性といったテーマの講演に続き、ANOFAのめざすものや会則についての議論が行われました。参加者には、農民組織に初めて加入する人もそうでない人もいて、「今後、年一回の総会では、成功している農家の秘訣や技術を披露してもらおう」「もし地域で協同の堆肥を作ることができれば、もっと野菜農家を増やすことができる」「狭い村社会から離れて励ましあえる仲間を作るため、女性や青年の交流の場が必要」など、それぞれの立場からさまざまな意見が出ました。
年が明け、1月11日には、その総会で選出された評議員13名(うち6名が執行委員)の役員会議が開かれました。会議では、各地域合計で45家族(水田約21ha、サトウキビ50ha、野菜その他8ha)の現状が報告されました。この間取り組んできた多角農業により「死の季節」はなくなったこと、いまだに借金経済から脱却できていないものの、衣食住・教育など何とか生活できるようになっていること、米野菜が収入に貢献していることなどが、各地域の報告から明らかになりました。ANOFAの課題は、地域に根ざした活動、そして生産性アップ。各地域が地理的に分散しているため、13人の評議員がそれぞれの地域で活動の中心となっていくことが求められています。
なお、1月25日からは北部ルソンとの農民交流が予定されており、NBAでは、それを受けてさらに具体的な活動案をつめていく予定です。随時報告を掲載していきますので、ぜひ応援をお願いします。
報告:大橋成子(おおはし・せいこ)、編集:野川未央(のがわ・みお)