フィリピン・北部ルソンで活動を共にするギルバート・クミラさん。ヌエバビスカヤ州のマラビン渓谷で柑橘栽培を営んでいる農民でもあり、ヌエバビスカヤ州卸売市場の代表でもあります。市場での仕事が忙しくなり、なかなか柑橘畑に行くことができなくなっていたのですが、息子のボンさんが柑橘栽培を継ぐことになりました。ボンさんは、昨年まで看護師として働いていましたが、「両親がずっと頑張り、守ってきたこの柑橘畑をこれからも続けてさらに良くしていきたい」と、農業を継ぐことを決めたそうです。
両親同様、循環型農業に取り組んでいきたいと意気込んでいるボンさんですが、地域の中では、化成肥料や殺虫剤に頼る人がほとんど。有機農業に対して懐疑的な生産者も多く、これまでの考え方を変えていくことはそう簡単なことではなさそうです。ボンさんは、「僕らの畑でも周りの農薬を使っている柑橘の実と変わらず立派な実がなっている。まずは自分たちが例を見せることができたら」と笑顔で話します。
一時、病害が発生し、蜜柑栽培を辞めていく人が多かったものの、ここ最近、町からの道路も整備されはじめ、物流が良くなってきていることも要因となって、村に人が戻りはじめています。そして、柑橘や米だけではなく、野菜などを作り始める農家が増えてきました。
今後のボンさんの活躍に期待しながら、APLAは引き続きBMW技術を中心にした循環型農業をサポートしていきます。
報告:寺田俊(てらだ・しゅん/APLA事務局)