足を運び、じっくり対話して、これからの民衆交易を共に考える
フィリピンのネグロス島には、カネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)という約5.5haに広がる農場があります。KF-RCは、農場であると同時に、地域の若者たちを受け入れる農業の実践・研修学校でもあります。毎年若者たちを研修生として受け入れ、次世代の教育、農を軸にした地域の発展を目指しています。
地域訪問の様子(前回記事)はこちら
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KF-RC卒業生の父親にインタビュー
【ロッキー・ベントゥラさん(第三期生ジョナンくんの父親)】
親たちの意識の変化が村の様子を変える。
息子の結婚を機に彼の自立を願い、1haの畑を譲りました。私たちの土地自体は小さくなりましたが、子どもたちも自立してきているので今の土地の大きさで十分になりました。ここバイス村のほとんどの若者たちは高校や大学卒業後、街へ行き仕事をしています。昔はそんなことはなかったのですよ。子どもたちのほとんどは小学校を卒業して家族の畑で働いていました。それはこの村に高校がなく、高校に行く=街に行くということもありましたが、親たちの意識の変化が一番かと思います。親たちは今、子どもたちを高校までは卒業させたいと思うようになりました。この村から学校の先生になり、お金持ちになれた家庭も今はいます。
私たちも昔は大変でした。子どもたちは小さく当然私たち夫婦2人しか働き手がいないことに加え、子どもたちを学校に通わせなくてはなりません。それは本当に大変でした。だんだんと子どもたちが学校を卒業していき、土地も大きくなり、収入も増えてきて、なにより家族の支えがあり、7人兄弟のうち唯一の娘を大学に行かせ卒業させることができました。
農家であるということ。土地を持っているということ。
昔はこの村の収入源といえば、コーヒー、バナナ、とうもろこし、お米ぐらいでしたが、収入源が多くなりました。土地を持っているということは本当に感謝しなくてはいけないことです。土地を持っているということは、自分たちで食べ物やお金(収入)を作れるということです。昔は必要な食べ物は買っていましたが、今は自分たちで作っています。それは私たち自身のためにもなります。農家であるということは、自分たちで自分たちが欲しいものを生産できるということです。
息子のジョナンは、KF-RCで多くの事を学び、今自分の畑で実践しています。収入が多いわけではないですが、食べ物は自分で育てていて支出も少ないので今の収入で問題ないでしょう。お金が必要となり、卒業後一度だけ街へ働きに行きましたが、今は一生懸命まじめに畑で働いています。
報告:寺田俊(てらだ・しゅん/APLA事務局)