昨年度に引き続き、ラオス南部ボーラヴェーン高原の若手コーヒー農民たちが作物の多様化を実現していくためのステップとして、タイ東北部のカオデーン農園(注)とPLC(P-nong Learning Center)の全面的な協力を得て、2019年9月、コーヒー農民4人がタイの篤農家を訪問する研修プログラムを実施しました。
今回の研修に参加したのは、昨年度の参加者のうちの4人(残り1人はタイに出稼ぎに行っており、不参加)、全員コーヒー農家の家に生まれ育った女性です。彼女たちの家の家計を支えている主な作物がコーヒーであることは事実ですが、自給作物を増やし、コーヒー以外にも収入につながる可能性のある生産物を増やしていくことを研修の目的にしています。昨年度の研修およびその後のフォローアップや聞き取りを経て、アボカド・マカデミアナッツ・果物の栽培の具体的な技術、家畜の飼育・加工販売についてを研修のテーマに絞ることにしました。
アボカド、胡椒、コーヒー、多種目の果樹を複合栽培している農園を訪問。さらに、その地域の行政区運営機構がアボカドセミナーを開催するという情報が入り、セミナーにも参加させてもらい「ラオスからの研修生」ということで歓迎してもらいました。挿し木で苗を増やす方法も学ばせてもらい、4名とも家で実践したい、とのこと。
鶏、がちょう、七面鳥、イノブタ、水牛の飼育だけでなく、カタツムリ(化粧品の成分として販売)の飼育、様々な果樹、その他農園にあるものは何でも売る、そしてその仕事をほぼ一人でこなす家畜農家の女性を訪問。ワクチンの打ち方や卵の検卵方法なども細かく教えてもらいました。素敵な「先輩」の姿に4人も刺激を受けたのではないでしょうか。
このように、PLCが築いてこられたタイにおける有機農業の実践者・地域とのネットワークのおかげで、APLAだけでは実現することが難しいであろう素晴らしい研修プログラムになっています。これぞAlternative People’s Linkage!今後も様々なつながりを深めながら、活動を展開していきたいと考えています。
報告:野川未央(のがわ・みお/APLA事務局)
注:日本国際ボランティアセンター(JVC)が以前バンコク郊外で行っていた自然農園プロジェクトの研修生だったコムサンさん(通称デーンさん)が、NGOの自然農業普及員の経験を経て、元JVCタイ駐在スタッフの森本さんと共に2006年に東北タイ・ムクダハン県でスタートした農園。
※本活動は、りそなアジア・オセアニア財団の助成をいただいて実施しています。