APLAでは、夏と冬のギフトシーズン限定で販売しているインドネシア産のエコシュリンプ。これまでは、「環境保全型の伝統的な養殖方法でつくられたエビ」というように、生産の現場として養殖池についてご説明することが多かったのですが、日本に運ばれてくるに当たって必要不可欠な冷凍加工の現場の現状については、なかなか光をあてることができずにいました。しかし、加工プロセスを担っている工場労働者がどのような生活をし、何を考え、どんな夢をもっているかを知ることで、エコシュリンプがただの“エビ”ではなく、“エビ”を通じた顔と顔が見える関係の一歩につながるのではないかと、オルター・トレード・インドネシア社(ATINA)工場の工員さんを中心とした調査を行うことになりました。そして、2009年7~8月の約1カ月間、APLAが調査を依頼した間瀬朋子さんとハルン・スアイビーさんにより、工員さんの仕事・生活に完全密着した形での調査が完了しました。この報告については、2010年末の出版を目指して編集・校正作業が進んでいます。
日本での出版に先駆け、2010年7月下旬、間瀬さんとハルンさんが1年ぶりにATINA工場を訪れ、工員さんたちと再会、調査の報告書内容を発表する機会が設けられました。この報告会は「労働者調査報告書内容の確認」という位置づけで、工員さんたちに報告書の内容のポイント(特に工員さんたちの生活・意識調査の部分)が伝えられると同時に、「皆さんとのインタビューをこのようにまとめ、日本の消費者に読んでもらうことになります」との確認がされました。
ATINAの工員さんたちはざっくばらん、闊達に意見表明し、間瀬さんとハルンさんを交えたオープンな話し合いの場になりました。ひとつ、工員さんと間瀬さんたちのやり取りをご紹介します。「エビ加工作業は疎外労働か?」という項目に関して、間瀬さんが「毎日エビの殻を剥いたりする作業は退屈ではないですか?」という問いかけをしたところ、工員さんたちはきっぱりと「そんなことはありません。わたしたちは責任を感じて仕事していますから」という意見が出されました。また、「こういったATINA工場の実情をエコシュリンプを食べてくれる消費者の方々に知っていただくことをうれしく思い、是非その反応を教えてください」という要望も出ました。
報告:津留歴子(つる・あきこ)、まとめ:APLA事務局