新潟県新潟市にある新潟食料農業大学の「フード分野からの食料産業(生態系サービス論)」という講義にお声がけいただき、バナナのワークショップを実施しました。
受講者は4年生120名ほど。はじめに、スーパーで販売しているバナナ(A)とバランゴンバナナ(B)を比べ、どちらを食べたいかを聞きました。特にどのようなバナナか説明せず、見た目で判断してもらった結果は半々。「サイズが大きいからA(スーパーで販売しているバナナ)を選んだ」「黒いところがあったほうがおいしいのでB(バランゴンバナナ)を食べたい」などの理由が挙げられました。
アイスブレイクとしてバナナの基本情報を使ったクイズをした後、プランテーションバナナの背景を説明し、プランテーションバナナではないバナナの例として、バランゴンバナナについても紹介しました。
その後、初めに行った質問を再度した結果、話を聞く前と聞いた後で、スーパーのバナナの印象が大きく変わったと、
8割くらいの学生が「バランゴンバナナ」を選択することに。一方で、「プランテーションバナナで働く生産者の苦労はよくわかったが、価格の安さ、手に取りやすさが魅力的なので、今後もプランテーションバナナを食べる」「プランテーションのバナナを買いたくない気持ちもあるが、お金に余裕があるわけではないので積極的には買うことができないのが難しいところである」と、プランテーションバナナを選ぶという意見もありました。
さらに、規格外バランゴンバナナについて、規格外になる理由を紹介し、なぜ選別が必要なのか、規格や規格外があるのかを問いかけると、何名かの学生から「傷がある売れ残ってしまうから」と、買う側の問題が指摘されました。私の方からは、フードロスを生み出す要因に、私たち消費者の意識が関係している可能性があることを伝え、普段の買い物行動を振り返ることを勧めました。
最後に規格外バナナの活用方法についてアイディアを募ると、バナナを加工して砂糖や粉として使えるようにする、バナナの発酵酒・漬物・キャンディーにするなどユニークな食品・加工品のアイディアやバナナパック・香水・ハンドクリームなど化粧品系の案が多く出ました。また、カリウムが多いので肥料に向いているなどといった意見も複数出たのは、農学系の大学生らしいですね。ある留学生は、カメルーンのおやつの「とうもろこし粉にバナナを加えてつくるドーナツ」を紹介してくれました。さらに、規格外のトマトを「闇堕ちトマト」として売っていた例から、インパクトのある名前をつけて販売するとか、普通のバナナと並べてタイムラプス動画をつくるなど若い人ならではのアイディアもあり、刺激を受けました。また、規格外のバナナをレベル別に並べ、どのレベルなら買うか調査し、情報収集するといいといった意見もあり、消費者の考えや意識を知ることの重要性にも気づかされました。
全体を通して、「普段何気なく買って食べているバナナの裏に大きな問題があることを初めて知って驚いた」という声が多かったです。そして「こういった知らなかったことに対して、小売店ではポップなどを使って、バナナ栽培の背景をもっと伝えたほうがいい」「なぜこのような情報が消費者に知らされていないのか」といった疑問の声もありました。また「自身の買い物行動を振り返り、今後は環境や人権に配慮した食材を選択したい、食材の表面だけでなく裏側も知る必要がある」「生産者を守ることのできる行動には何があるのか考えたい」など、今後の行動につながる感想も多くありました。
今回のワークショップで触れることのできた大学生の皆さんのいろいろなアイディアや意見を今後の活動につなげていきたいと思います。ありがとうございました。
報告:福島智子(ふくしま・ともこ/APLA事務局)
規格外バランゴンバナナについては、ぽこぽこバナナプロジェクトのウェブサイトをご覧ください。
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