10月29日に、「ぽこぽこバナナフォーラム」を開催しました。ぽこぽこバナナプロジェクトが始まって、およそ2年。これまでの多様な活動をシェアしあい、交流を深め、よりプロジェクトを広げていくために開催したフォーラムです。
オンラインとのハイブリッド開催でしたが、都内の会場は、関係者を含め、45名の参加者でにぎわいました。会場には、全国各地のプロジェクト参加者による活用方法を紹介したポスタースペース、規格外バランゴンバナナを活用するアイディアシェアブース、規格外バランゴンバナナを使った商品販売のブースなど、活動の多様さが表れるようなスタイルで構成されました。
発表は、二部構成とし、第一部は、ぽこぽこバナナプロジェクト、バランゴンバナナ、食品ロスについての情報提供の時間。第二部は、会場とオンラインでの活用方法共有の時間でした。
ぽこぽこバナナプロジェクトの概要説明では、プロジェクト開始からこれまでの活用量が10,000kgを超えたことや34の都道府県で活用されたこと、動物の保護施設での活用や食品以外への活用法といったユニークな活用例、今後の課題などをAPLA事務局の福島から説明しした。オルター・トレード・ジャパンのバナナ担当者からは、バランゴンバナナの民衆交易の始まりやフィリピン各地のバナナ生産者のことなどの説明がありました。ぽこぽこバナナプロジェクトに参加されている方の多くは「フードロス削減」という点をきっかけにつながっており、バランゴンバナナの背景についての情報を十分に届けられていなかったケースが多いので、改めてバランゴンバナナについて知ってもらう機会が設けられてよかったです。参加者の方々も「知らないことがたくさんあった」「きちんと知ることができてよかった」とおっしゃっていました。「食品ロス」については、東京農業大学食料環境経済学科の野々村真希さんに講演をお願いしました。限られた時間ではありましたが、食品ロスの定義、日本の食品ロスの状況や問題点といった基本的な情報から、対策、食品ロス削減の事例紹介まで、重要なポイントを押さえた説明でわかりやすく、今後のプロジェクトの参考になる情報をたくさん得ることができました。
第二部は、麗澤大学のバナナビールプロジェクトの発表からスタートしました。大学のゼミで取り組んでいるバナナビールプロジェクトの皆さんは、プロジェクトの始まりから、ぽこぽこバナナプロジェクトとの出会い、バナナビール完成、そしてクラウドファンディングの挑戦など、1年以上に及ぶ活動を紹介してくれました。ちょうどフォーラムの前日にクラファンが達成され、その報告がされると会場からは大きな拍手がおこりました。会場での発表は3組で、このゼミの取り組みほか、規格外バランゴンバナナを使って酵母をおこしてパンを作っているパン工房ふらんす、規格外バランゴンバナナの量り売りやバナナジュース販売をされているnatural cafe&meal キナリヤ(カフェ/就労継続支援B型の福祉施設)の発表もありました。
オンラインでの発表は4組で、まず規格外バランゴンバナナを販売しているmottene(食料品店)が実際に店で販売している様子を会場に紹介してくれました。ちょうどバナナを見ているお客さんの姿もあり、うれしい気持ちになりました。続いて、新潟食料農業大学の取り組み。こちらは、バナナの皮のメタン発酵、液肥についての紹介でした。専門的な内容も含まれていましたが、画像が多くあったのでわかりやすく、バナナの皮でエネルギーが作られたり、なすが大きく育ったりしている様子を見て、バナナの皮の可能性の大きさに、会場の皆さんは熱心に耳を傾けていました。そして、規格外バランゴンバナナをリパックして販売している生活クラブ風の村農仲舎八街の報告。販売の様子のほか、数カ月にわたるバナナの状態の変化、現場の声、今後の展望など、詳細な説明を届けてくれました。発表を締めくくってくれたのは、明海小学校地区児童育成クラブの子どもバナナプロジェクトの発表です。こちらは、ぽこぽこバナナプロジェクトの初期の段階から参加してくれているところで、主に小学校6年生の児童が、おやつ作り、皮を使った草木染め、和紙作りの他、最新の取り組みであるバナナの皮を使った編み物やキーホルダー作りまで、ユニークな活動を紹介してくれました。子どもたちの柔軟な考え方や自由な発想に会場にいた多くの大人たちは大いに沸いて、いい雰囲気で終わることができました。
会場で皆さんの目を引いたのは、「バナナの皮」のオブジェ。アーティストの三塚新司さんの作品です。初めは会場入り口近くに設置していたのですが、会場ボランティアの方の意見で、前方へ移動。そのおかげで、会場全体から、そしてオンライン参加者にも見える形になり、一気に会場の“バナナ感”が増しました。三塚さんにもご参加いただいたので、三塚さんのブースには質問をする方でいっぱいになり、作品の周りも写真を撮る方でにぎわいました。
発表後は、交流の時間を設けました。発表者に直接質問したり、会場に掲示してあるポスターを見ながらやりとりしたり、バナナのお菓子を楽しんだり。今回、会場に掲示したポスターは全部で8団体。バナナスムージー、バナナケーキ、バナナの量り売りの店舗やマルシェ・イベント、ヨガスタジオでの活用など様々でした。販売された商品も様々で、会場で注文を受けてから作るバナナスムージー、発表もしてくださったバナナ酵母のパン、バランゴンバナナを切らずに乾燥させたまるごと干しバナナ、福島県二本松市の有機小麦粉で作ったバナナパウンドケーキ、バナナの皮をつかった石けんなど、なかなか手に入れることができないバナナのスイーツが並びました。出店者同士の交流も見られ、将来的にコラボ商品などもできるかも、などと想像したりしました。
フォーラムの企画の検討など、準備が始まった夏から多くの方にご協力いただきました。当日の会場運営も、20人以上のボランティアの方にサポートいただきました。このフォーラムは、ぽこぽこバナナプロジェクトのユニークな活動が様々なところで「ぽこぽこ」と生み出され、1つの活動が別の新たな活動や人をつなげていくという思いが形になったかのようでした。そして、このフォーラムに関わってくださった方は、世代も背景も異なる方々で、本当にぽこぽこバナナプロジェクトらしい集いとなりました。また来年も新しいフォーラムができるよう、様々な方とつながり、プロジェクトの想いを伝えていきたいと思っています。
報告:福島智子(ふくしま・ともこ/APLA事務局)