ぽこぽこバナナプロジェクトに積極的に参加してくれている明海学童クラブ(千葉県浦安市)の子どもバナナプロジェクト。プロジェクトがスタートした時期から関わっており、今では毎月規格外未利用バランゴンバナナを購入してくれています。活動を始めた時の報告は、ぽこぽこバナナプロジェクトのウェブサイトに活動事例のひとつとしてご紹介しているので、ぜひ合わせてお読みください。
2024年3月、久しぶりに学童クラブを訪問しました。子どもたちからの歓迎を受け、バナナジュースとバナナのフレンチトースト風揚げパンをいただきました。学童のおやつやイベントでも何度も作っているバナナジュースは、子どもたちだけで作りますし、ジュースを渡す時のバランゴンバナナの説明も慣れたものでした。スタッフの方は「はじめは説明するのに緊張していたけど、今はすらすらと話せます」と言っていました。バナナの揚げパンは、6年生のメンバーが主に考えたレシピだそうで、パンに切り込みを入れ、その中にスライスしたバナナを入れて揚げた後に、シナモンシュガーをかけるという、手の込んだものでした。どちらもおいしかったです。
バナナの皮を活用する
続いて、バナナの皮を使った活動を紹介してくれました。子どもバナナプロジェクトは、皮の活用にも熱心に取り組んでいます。コンポストにする他、草木染めの材料として使ったり、皮入りの和紙作りにも挑戦しています。子どもたちが活躍したバナナの皮入り和紙づくりワークショップの報告はこちらからお読みいただけます。
バナナの皮の活用はその後も進化を遂げており、皮のバッグチャームや皮入りのキーホルダーを作ったりもしてきました。子どもたちの作品は、24年1月にフィリピン・ネグロス島を訪問した際に、現地のオルタートレード・フィリピン社(ATPI)にも届けています。子どもたちのユニークな発想に、皆さん、驚いていました。
今回はまた新たな研究結果(?)を発表してくれました。1つ目は、「バナナの香水」です。これは、卒業する6年生が学童クラブへ形のあるものを残したいという思いで作られたものです。アロマウォーターを作る時のように水蒸気蒸留法(水蒸気を使って植物から香気成分を抽出する方法)で、バナナの皮から、「バナナ香水」を作りました。出来立ては、バナナの香りが強く、ちょっと「うっ」となるほどだったそう。何日か経つと香りが落ち着いてきて、バナナのいい香りがしたとのことです。この「香水」をどう活用するかは検討中。防虫スプレーとして使えるのではないかなど、色々なアイディアが出ているようでした。
2つ目は「パサパサ肉がジューシーになる」です。バナナの皮に酵素があり、酵素にはお肉を柔らかくする効果があると知った5年生の子どもたち。インターネット上には具体的にどう皮を使えばいいのかという情報はなかったため、お肉と皮の絡め方は試行錯誤し、色々と話し合った結果、鶏の胸肉を細かく切って、皮で包んでしばらくおいてから焼いてみることにしたといいます。バナナの皮の効果がわかるように、バナナの皮で包んだものと、包まないものを用意して食べ比べをすることにしました。
バナナの皮の効果はてきめん!違いは、お肉を刺しただけでわかりました。違いがわかるように、味付けはせず、肉のサイズや火の加減、調理時間も同じにしたそうですが、皮を使うとの使わないとで、柔らかさに大きな違いが出ることがわかりました。バランゴンバナナの皮は厚めだから、他のバナナよりも、より柔らかくなる気がするなどという感想も寄せてくれました。
次から次へと出てくるアイディア
子どもたちに話を聴いたところ「バナナもそうだけど、バナナの皮をどう活用すればいいかなというのが、いつも頭にあるので、何かしていてもこれはバナナの皮に使えそう、これをもっとこうすればバナナにも応用できるかも」などと考えているんだそう。それに「バナナの皮の活用法も知ってもらえたら、もっとこの規格外のバランゴンバナナを買ってくれる人が増えるんじゃないかな」と、バナナを広めるための、「セールス方法」も考えてくれていました。次は、バナナの皮で、肌についてしまった墨やペンキが落ちるかという実験も考えているそうです。皮に汚れを落とす効果があることがわかったのでお試しする計画中とのこと。今後もユニークな活動が楽しみです。
規格外未利用バランゴンバナナの活用に取り組んで2年。この活動は学童の子どもたちに色々な影響を与えています。例えば、フードロス削減の活動から環境に関心を持ち、小学校の委員会活動で環境委員になった子もいます。活動は失敗することもありますが、失敗した時に、次にどう取り組めばいいかの解決策を考えるので、問題解決能力がついているようです。また、活動内容によっては自分たちで買い物をしますが、その際には、熟しているものを買ってきたり、値段を比べて少しでも安いものを買ってきたりするなど、フードロスを考えられたり、節約意識が身についてきたりなど…といった変化もあるとのこと。さらに、子どもたちの活動は周囲にも影響を与えています。子どもたちが家でバランゴンバナナのことを話したり、規格外の話をしたりするので、活用方法のアイディアを出してくれる保護者の方も出てきました。また、家庭で読まなくなった本を集めてブックリサイクルの活動が始まったり、学童での忘れ物は一定期間が過ぎると処分してしまっていましたが、保護者の方からの意見で、リサイクルに出すようになったりもしているそうです。子どもたちの活動が家庭や地域を巻き込んでいますね。
子どもバナナプロジェクトは、次の学年に引き継がれます。引き継ぎ会の時は、現5年生の児童が「次のリーダーになります」と大きな声で宣言したとのこと。次のリーダーにも話を聞きましたが、熱心に今後の活動について語ってくれ、勢いが止まらないほどでした。頼もしいリーダーが引っ張る今後の活動からも目が離せません。
報告:福島智子(ふくしま・ともこ/APLA事務局)