民衆交易の商品をもっと知ってほしいという思いから、商品をひとつずつ取り上げ、その商品を使ったお料理と背景のお話をお届けする連続イベントを開催しました。1回目は、パレスチナのバージンオリーブオイル、2回目は、規格外バランゴンバナナ、そして3回目は、カカオで、APLAも長い間お世話になっている「出張料理きまぐれや」シェフの吉田友則さんに料理を担当いただきました。吉田さんのわかりやすいお話とユニークなレシピ、そして美味しいお料理で充実したイベントとなりました。
会場は、東京都三鷹市にある「量り売りとまちの台所 野の」。パレスチナのオリーブオイルの量り売りの他、規格外のバランゴンバナナも定期的に販売してくださっているところです。参加者の皆さんとの距離が近くてお話しやすい環境で、リラックスした雰囲気で進めることができました。量り売りの様々な商品を眺めるのも楽しく、イベント終了後には、お買いものも楽しまれている参加者の方も多くいました。
パレスチナのオリーブオイル
4月24日に開催した1回目にフォーカスしたのは、パレスチナのオリーブオイル。昨年10月以降、パレスチナへの支援として多くの方にお求めいただいていますが、大規模攻撃などがあってパレスチナへの注目が高まっている時だけでなく、生産者に思いを寄せ続け、持続的に購入いただけるように、普段づかいの方法を提示できたら、という思いがありました。当日のお料理はこちらです。
オリーブオイルを使った様々なドレッシングやマヨネーズをサラダにかけて食べました。また、オリーブオイルは和の食材とも合うということで、オリーブオイルとめんつゆを合わせたものを日本蕎麦に絡めて食べましたが、予想以上の相性にびっくりしました。オリーブオイルは、パスタなどを炒める時に使いがちですが、パレスチナのオリーブオイルは加熱しないでそのまま使うのがいいと再確認した夜でした。
規格外バランゴンバナナ
5月24日に開催した2回目に取り上げたのは、規格外のバランゴンバナナ。バナナはそのまま食べたり、料理するとしてもバナナケーキやバナナジュースくらいしか思いつかなかったので、吉田シェフがどんな料理にしてくれるのか、参加者の皆さんともども、興味津々でした。当日のお料理はこちらです。
左は、バナナのココナッツミルクカレーです。材料はバナナと玉ねぎだけというシンプルなカレーでしたが、とてもおいしかったです。お皿に一緒に乗っているのは、バナナのチャツネとバナナと柿の皮のナムル。チャツネはバナナの甘味とお酢の酸味がバランスよく、ナムルも食感が楽しく、両方ともカレーとよく合いました。
右は、バナナの皮のパウダーを入れたパンです。バナナの皮の風味を感じられるように、シンプルな材料で仕上げてくださったそうです。ぽこぽこバナナプロジェクトでは、バナナの皮の活用が課題となっていますが、ナムルもパンも活用方法のひとつとしておもしろいですね。皮のナムルは、比較的きれいな部分を取り上げて洗い、細く切ったものを茹でて、味付けしてあるだけです。簡単ですので、ぜひ作ってみてください。
そして、バナナの皮のパウダーを作ってくださった参加者の方がお土産を持ってきてくれました。これは、丸ごと乾燥バナナの漬物です。こんな使い方もあるのかと勉強になりました。お子さんはあまり漬物を食べないかもしれませんが、この漬物は甘味もあり、お子さんでも好きな味かもしれません。
パプアのカカオ
6月21日に開催した3回目では、パプアのカカオを取り上げました。APLA SHOPでもカカオ豆やカカオニブは販売していますが、使い方が難しいせいか、残念ながらそれほど動きのある商品ではありません。今回はそうした事情もあり、普段の食卓に取り入れやすい使い方を提案したいという思いがありました。
まずは、ワークショップではお馴染みのチョコレートペースト作りを体験してもらいました。焙炒したカカオ豆の殻をむき、砕いてカカオニブにした後で、すり鉢を使ってペーストを作っていきました。出来立てのチョコレートペーストと吉田シェフが作ってきてくださった規格外バランゴンバナナのキャラメリゼをパンにのせて食べました。カカオ豆から手作りしたチョコレートを食べる機会はそれほどないので、作るのは大変そうでしたが、その体験も含めて、参加者の皆さん、喜んでいらっしゃいました。ビターなチョコレートと甘いバナナのキャラメリゼで、無限に食べ続けられそうでした。
メインディッシュは、エコシュリンプ入りトマトクリームパスタです。パスタが茶色っぽいのが見えると思いますが、吉田シェフお手製パスタにはカカオニブが練り込まれています。とても手が込んでいて自宅で作るのは難しいですが、エビとカカオの相性は抜群でした。パスタに添えてあるサラダには、カカオニブドレッシングがかかっています。このドレッシングは、粒マスタード、お酢、オリーブオイル、マスコバド糖、ゲランドの塩、カカオニブを細かく砕いたものを混ぜ合わせただけで簡単なので、おすすめです。さわやかでビターなドレッシングとかぼちゃの甘みのバランスがとてもよかったです。
商品の背景を知る
3回とも、お食事の後には、それぞれの商品の背景を写真を交えてお伝えしました。どのような環境で作られているのか、どのような過程を経て日本に届けられるのか、生産者の思いなど、皆さん、とても熱心に耳を傾けてくださり、メモもとられていました。
参加者の皆さんにアンケートをとったところ、「おなじみの材料を少しの工夫で他のは違う食べ方があることを知れてよかった」「今まで手にとる機会はなかったけど、カカオニブの使い方を知り、ぜひ使ってみたいと思った」「実践しやすいアイディアを教えてもらってありがとうございます」「大人だけでなく子どもにも聞かせたい」「生産者に感謝」などの声をいただきました。
APLAは、ネットショップを中心に民衆交易の商品を販売しているため、購入者の皆さんと交流する機会は残念ながらそれほど多くありません。今回は、久しぶりの対面イベントで、商品の良さや使い方を直接お届けできて、伝えられた・つなげられたという実感を得ました。3回目のカカオの会の際には、「カカオニブは調味料として販売した方がいい」「使い方も発信した方がいい」などという貴重なご意見もいただき、今後の販売の仕方に取り入れたいと思ったのと同時に、今後も購入してくださる皆さんが参画できる民衆交易事業をつくっていきたい、という想いを強くしました。
他の民衆交易の商品を使ったイベントの要望も多いので、来年度もまた企画したいと考えています。吉田シェフ、そしてご参加くださった皆さま、ありがとうございました!
報告:福島智子(ふくしま・ともこ/APLA事務局)