今年も東ティモール現地協力団体Permatil(パーマティル)がパーマカルチャーを実践的に学ぶパーマユース・キャンプを他団体と協力のもと実施し、APLAは、例年通りエルメラ県からの若者の参加をサポートするほか、初の試みとして西ティモール(インドネシア)からの参加者をサポートしました。
ティモール島は、島のほぼ真ん中に引かれた国境(西側に東ティモールの飛び地あり)によって、ふたつの国家に分かれていますが、ひとつの島です。東ティモールは「四国と同じくらいの大きさ」と例えられることが多いので、四国をふたつ横に並べたくらいの大きさの島です。国境によって隔てられていても、降り注いだ雨は、川となり両側に流れます。土壌や水源の汚染は、互いに影響を与え合います。東西ティモールの人びとが国境や国家の枠組みを越えて、つながり、ティモール島の自然と調和した暮らしの実践にむけて協力できれば、という思いから、西ティモールからの参加者を募りました。
今年のパーマユース・キャンプは、エルメラ県ファトゥケルというところで10月21日〜26日に開催されました。ファトゥケルは、今年7月に在来の種子保全に関する演劇を一緒に行ったAPLA現地協力団体である有機農業団体TILOFE(Timor-Leste Organic Fertilizer)の拠点でもあったため、彼らもパーマユース・キャンプ実施に大きな力を発揮しました。昨年までに比べると、さらに多くの参加者が国中から集まり、500名ほどの予定が最終的には700名以上になったと聞いています。Permatilを中心とした現地団体の長年の活動が一段と注目され、特に若い世代の関心を集めていると感じます。
参加者は、テラス式農園・川の水のコントロール・家庭菜園・雨水貯水・雨水利用の5つのテーマに分かれ、5泊6日の間ともに学びました。APLAが参加をサポートした参加者は、西ティモールの3名が通訳(注)の必要性から全員で家庭菜園のテーマグループに参加、エルメラ県の7名が家庭菜園をのぞく4つのテーマに分かれました。
日中のテーマグループは別々になりましたが、APLAの仲間同士、夜には集まってテトゥン語とインドネシア語を混ぜながら、互いの学びの共有や雑談など交流しました。APLAの現地ファシリテーターである2人は、たびたび「西ティモールのみんなは大丈夫か?楽しんでるか?」と様子を伺いに来てくれていたのが印象的でした。このパーマユース・キャンプには、パーマカルチャーについて学ぶ以外に、リーダーシップ育成、環境保全や社会問題に関するアドボカシー、国中の若者の交流(今回は、西ティモールからの参加者もいたので、「島中」と言ってもいいかも!)などの側面もあります。
Permatilの代表であるエゴ・レモスさんは、パーマカルチャーの根底にある3つの原理を繰り返し、若者に伝えていました。自然と生き物を大切にする(Earth Care)、人を大切にする(People Care)、公平に分かち合う(Fair Share)。
今回の学びや交流を通じてつながったネットワークを通して、この3つの原理を実践していけますように!
報告:松村多悠子(まつむら・たゆこ/APLA事務局)