地域と世界をつなぐ場として
かの有名な関ヶ原の東隣に位置する岐阜県不破郡垂井町。山林と豊かな農地、揖斐川につながる多彩な水利のおかげで、古くから交通の要衝として栄えた町です。
その垂井町の古民家を活用して、2014年10月4日にオープンした「みずのわ」。西濃地域で初のフェアトレード専門店として、アジア・アフリカ・南米から届いた食品や民芸品の数々と一緒に、垂井町内や揖斐川流域の地産地消の商品も並ぶのが特徴です。
お店を運営するのは、特定非営利活動法人 泉京(せんと)・垂井。地域づくりとグローバルな課題をつなぐアプローチとしてこうした店舗を持ちたいというアイデアは、2005年の団体設立当初からあったものの、具体的な構想はここ一年ほどで一気に固めてつくりあげたとのこと。フェアトレードタウン運動(注)の拠点として、周辺地域の小規模店舗や事業所でフェアトレード製品を利用してもらうことや、フェアトレード&地産地消のコラボ商品の開発にも積極的に取り組んでいきたい、とスタッフのみなさん。
フェアトレードと地産地消のおもしろさ
オープニングイベントを開催した10月4日、5日の週末には、2日間で300人以上のお客さんが集まり、地元メディアの取材も相次ぎ、大賑わいだったとのこと。店長の榎本淳さんに、開店から一週間が過ぎての感想をお聞きしてみると、「開店前は、フェアトレード専門店としてそれを目がけて外から来店される方が多いのではないかと予測していたけれど、実際には町内からも沢山の方が足を運んでくださり、買い物をしてくださることがうれしいです」と大きな手ごたえを感じている様子でした。
一方で「地元の商品がもっとあった方がいいね」というお客さんの意見も。現在は、蜂蜜や野草茶、草木染の麻製品、木工作家による調理具など、地産池消の商品ラインナップが限られていますが、今後は“モノ”だけに限らず、地域の方たちが持つ“技”を届けられる場所としても発展させていきたいと考えているそうです。たとえばマッサージや整体の技術を持っている人、お菓子づくりを教えることができる人、美味しいコーヒーを淹れられる人、得意な音楽を届けたい人などなど。パプア州産カカオやバランゴンバナナをつかったワークショップ企画の話にも花が咲きました。
誰もが気軽に使えるフリースペース
「みずのわ」の魅力は、そうした“技”の交換を実現できるフリースペースが、店舗の奥に併設されていることです。ワークショップや展示などの企画開催も楽しみですが、たたみ16畳の広々としたスペースには、常時お湯が用意されているので、お店で購入したコーヒーや紅茶を飲みながらのんびりと過ごすことができます。「ここに来たら誰かに会える」「公民館よりもルールが少なく、喫茶店でコーヒーを飲むよりも安い」そんな風に地域の方たちに気軽に使ってもらえる場所に育てていくことが一つの目標だといいます。
つい先日も年配の女性5人がふらっとあそびにいらして、お店で購入したフェアトレードのお菓子と頂きものの芋ようかんをテーブルに広げて、賑やかなお茶の時間を楽しまれていったことがあったそうで、そのときの様子をお話されるスタッフのみなさんの表情がとても印象的でした。 野川未央(のがわ・みお/APLA)
フェアトレード&地産地消 みずのわ
岐阜県不破郡垂井町宮代1794-1
TEL:0584-23-3010/FAX:0584-84-8767
営業時間:10:00~17:00 定休日:水曜日
Facebookページ:https://www.facebook.com/mizunowa1004
みなさんは「小商い」という言葉を聞いたことがありますか?『小商いのすすめ』(2012年、ミシマ社)の著者である平川克美さんは「自分の手の届く距離、目で見える範囲、体温で感じる圏域でビジネスをしていくこと」だと説明しています。グローバル化によって、一握りの大企業が世の中を席巻する昨今、私たちの身の回りには、誰がどこでどのように作ったかが見えにくいモノがあふれてきています。その裏では、環境破壊や資源を巡る争い、遺伝子組み換え作物の急増も。この事態を変えていく鍵が「小商い」にあるかも…!と考え、その実践者にお話を聞きます。 |