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手わたしバナナくらぶニュース

2011年5月+6月No.206 東ティモールのコーヒー生産者がフィリピンの農民と交流

研修生に炭焼きを実演してもらいました

東ティモールで”コーヒーだけに頼らない自立したコミュニティづくり”をめざして動き出したコーヒー生産者グループがあります。2010年11月、その 2つのグループを代表してアフォンソとルシオ、そしてオルター・トレード・ティモール(ATT)のダニエルが、フィリピンの農民と経験や知恵を共有しても らうため、ネグロス島とルソン島北部を訪問しました。アフォンソとルシオは、初めての飛行機、初めての外国、ということもあり、ちょっとの不安と胸いっぱ いの期待と共にディリを出発です。

ネグロス:砂糖キビ&コーヒーだけの経済から抜け出そう!

土地闘争を経て、砂糖キビ収穫以外の活動の多角化をはかっているエスペランサの組合を訪問

はじ めに、土地の環境を生かしたオルタナティブな技術である”適正技術”の普及に取り組んでいるAID財団という現地団体を訪問しました。小型水力発電、自動 揚水器、籾殻を利用した調理用ストーブ……など、数多くの魅力的な技術を目にして大興奮の3人に対し、「一番大切なのは、地元で手に入る材料を使い、地元 の人が設置もメンテナンスもできるということ。東ティモールでも役に立つ技術を広められたらいいね」と、AID財団のオウカ代表が今後の協力の可能性も示 唆してくれました。次に訪問したカネシゲファーム・ルーラルキャンパス(KF-RC)では、研修生たちが多種多様な野菜や家畜を工夫して育てている現場を じっくり見学し、”コーヒーだけに頼らない”という言葉の意味をはじめて具体的にイメージできた様子。自身のコミュニティで養豚を検討しているルシオは、 特に豚舎の様子を熱心に見学・質問し、アフォンソは、「ひとつの畑に何種もの野菜・果物が同時に育てられているのがすごい!」と感心しきりでした。夜に は、KF-RCの研修生たちに東ティモールについて紹介し、独立時のことを描いた映画を一緒に鑑賞するなど、若い研修生たちにとっても普段とは一味違った 学びの機会となったようです。

北部ルソン:地形が似ているからこそ学べること

元々荒地だった丘陵地で7種類の柑橘類を栽培している農家にて。 

ネグロスから国内線で首都マニラへ向かい、そこから車で半日近くかけてヌエバ・ビスカヤ州へ。標高1000m以上に位置する東ティモールのコーヒー産地コ ミュニティと地形や気候条件が近く、先祖代々”土は命”という考えを引き継いできた先住民族が多く暮らす地域です。中心となったのは、先住民族の価値観や 暮らし方をベースにして持続可能な地域づくりをめざした活動をしているカヤパ・エコビレッジ協会(KEA)との交流。6日間のカヤパ滞在中には、「自分は 年寄りだけれど子どもや孫のために有機農業を実践している。大企業が農薬を売り始める前から、自分たちの祖先が元々やっていた方法に戻っただけだけれど ね」と語る有機農家から野菜・米づくりについてたくさんのことを学びました。「野菜以外の収入を得て家計の足しにしたい」という女性たちからは地元の農産 物(ピーナッツ)を使った食品加工の活動を実演してもらうなど、”農民としての意識”を高める一助となったように思います。また、「学んでばかりでなく自 分たちにも教えられることがあるはず!」と収入多角化のために品質の高いコーヒーづくりに取り組み始めたカヤパの人たちに向けて、東ティモールでのコー ヒーづくりの経験を伝えるためのセミナーを開き、40人近い参加者がありました。

世界遺産としても有名なバナウェの棚田群に立ち寄った際には、2000年以上に渡って受け継がれてきた米づくりのための叡智と努力に感嘆する一方 で、「自分たちの地域は水にも恵まれていないし、土だってやせているから、同じようにはできないよ」と弱気モードのアフォンソとルシオ。それを見かねた KEAのグレッグが「ないものねだりではなくて、あるもの探しをすべき。手をかければ、必ず結果が出るはずだ」ということを理解してほしいと、元々とても やせた土地が農民の知恵と働きによって立派な畑になった地域や、灌漑設備のない高地で陸稲を育てている農家に連れていってくれました。

コーヒー生産者のアフォンソ

帰国前の振り返りでは、「コミュニティに戻ったら、学んだこと全てをメンバーに説明して、できることからチャレンジしていきたい」と語った東ティ モールの3人。これから各コミュニティグループでどんな地域づくりが進んでいくのか、引き続きフィリピンの仲間の力も借りながら応援していきたいと思いま す。